第595回
中国のブログ民主主義

中国の公安(ごんあん、警察)と言えば、
一般民間人に対する態度が非常に横柄だったり、
黒社会(へいしゃーほい、暴力団)とつるんで
私腹を肥やしたりするため、
しばしば民衆暴動のターゲットとなっていますが、
最近、そうしたダーティーなイメージを
払拭するような動きが出てきています。

河北省の公安庁は今回
「中国公安第一博客」(※1
というブログ(日記風の簡易サイト)を始めました。
「博客(ぼーかー)」とは
中国語でブログという意味です。

このブログ、
誘拐された子供の救出劇などの
事件のドキュメントや、
「空き巣に注意」などの
警察からの呼びかけが主な内容ですが、
若い婦人警官を写真入りで紹介して、
読者による人気投票を行う、なんていう、
日本の警察ではありえない、
「やわらかい」内容のコーナーもあります。

更に、読者は警察に対する意見を
ブログに直接書き込むことができ、
そうした意見に対して、
警察関係者が回答する、など、
民衆と警察が相互交流できるように
なっています。

こうした斬新な企画のおかげもあり、
「中国公安第一博客」は開設後わずか2ヶ月間で、
アクセス数が100万件を突破、
アイドルブログ並みの人気を誇っているそうです。

中国共産党機関紙・人民日報も
「国内初の影響力を持つ「政府ブログ」だ」と絶賛、
河北省公安庁政治部の史貴中副主任は
「今後はブログ上で討論や民意調査などを行い、
民衆が警察を監督し、
提案を出してもらえるようにしたい」
と語っています。

どうです、この発想のやわらかさ。
中国の役人は、本気を出せば、
日本の役人よりずっと頭がやわらかいことが、
今回のことでよーくわかりました。

「中国公安第一博客」の成功により、
今後、他の地域の警察や、他の政府機関が
「政府ブログ」を開設することが予想されます。
「政府ブログ」を利用した民意の吸い上げや、
民衆と政府機関の相互交流は、
各地で暴動を頻発させている
民衆の不満を和らげるために、
大きな役割を果たしていくものと思われます。

中国の人民には選挙権は与えられていませんが、
中国政府の各機関が「政府ブログ」で民意を吸い上げ、
それを政策に反映させるようなシステムができれば、
中国は世界に例を見ない
「ブログ民主主義国家」となる日も
近いのではないでしょうか。

※1 http://blog.sina.com.cn/m/gongan


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2006年8月11日(金)

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