第550回
日本から割りばしがなくなる日

コンビニで買ったお弁当を食べるとき、
そば屋でそばを食べるとき、
家で箸を洗うのが面倒なとき。

割りばしは私たちの生活に
深く入り込んでいます。
しかし、この割りばしが、
2年後には日本から
ほとんどなくなってしまう可能性が
出てきました。

現在、日本では年間240億膳の割りばしが
消費されているそうです。
240億ですよ、240億!
日本の人口を1億人とすれば、
老人から赤ちゃんまで日本国民全員が、
3日に2回は割りばしを使っていることになります。

これだけ大量の割りばしがどこから来ているのか、
というと、その9割は
中国からの輸入に頼っているそうです。
しかし、その中国が、今回、
国内森林資源の保護のため、
2008年にも対日割りばし輸出を
全面的に停止する、という方針を固めたのです。

この発表に慌てた日本の流通業者や需要家の間では、
ロシアやベトナムなど中国以外の輸入先を
開拓する動きが急遽活発化しているようですが、
中国への依存度が9割にも達している現状からして、
たった2年で200億膳以上の割りばしを供給できる
代替調達先を見つけるのは不可能と見られています。

日中関係が悪化しているので、
「また、中国の嫌がらせか」と
思われる方もいるかもしれませんが、
さにあらず。
中国はこの4月から、
中国国内の割りばし販売に対しても
5%の消費税課税を開始しています。
中国国内の割りばし需要も抑えたいのに、
日本へ輸出なんかしている場合ではないのです。

確かに、毎年春の「砂嵐」に苦しめられ、その原因が、
日本に割りばしを輸出するための森林伐採だとしたら、
中国の人たちも気分悪いですわな。
連日黄砂でまっ黄色の北京の空を見ていると、
彼らのそんな気持ちも理解できます。

私、個人的には、
中国の対日割りばし輸出停止措置は、
日本を循環型社会にするための
良い機会なのではないかと思っています。

「クールビズ」や「ウォームビズ」のように、
政府が国を挙げて、国民にお箸の携帯を奨励する
「マイお箸」キャンペーンを展開すればよいのです。

そうすれば、
女性の小さいバッグにも入る「折りたたみ式お箸」や、
必ず持ち歩く携帯電話にお箸を付けた「お箸付き携帯電話」
なんていう新商品がどんどん開発されて、
経済が活性化するかもしれません。

環境保護のため、
全国民がお箸を携帯している国など、
世界中探してもどこにもありません。
「MOTTAINAI」という、
すばらしい環境保護コンセプトの発祥地として、
今こそ、日本は世界の国々の
模範となるべきなのではないでしょうか。


←前回記事へ

2006年4月28日(金)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ