第529回
ニセモノブランド品による階級識別法

中国には今、3つの階級の人たちが混在しています。

3つの階級とは、
ほんの一握りの「ブルジョア階級」、
増えつつあるとはいえ、まだまだ少数派の「中産階級」、
そして、国民の圧倒的大多数を占める
「プロレタリア階級」です。

この3つの階級の人たちを
見分ける方法はたくさんあるのですが、
ニセモノブランド品に対する接し方でも、
見分けることができます。

まず、「ブルジョア階級」。
この階級は、
個人企業のオーナーなどで構成されます。

この階級の人たちは、
ホンモノブランド品を買えるだけの
お金を持っていますので、
ニセモノには見向きもしません。
逆に、1つでもニセモノを買ってしまうと、
他のホンモノもニセモノだと思われてしまう、
というリスクがありますので、
ニセモノは絶対に買いません。

次に、「中産階級」。
この階級は、
収入の高いホワイトカラーなどで構成されます。

この階級の人たちは、高学歴であることが多いため、
ベルサーチ、プラダなど、
海外の有名ブランドについては、
一通り知っています。
ただ、中国で売っているホンモノブランド品は、
中国だから安い、などということはなく、
国際価格と同等、もしくは、
香港や東京よりも高かったりしますので、
彼らの給料でホンモノベルサーチや、
ホンモノプラダを買うのは、
やはり、かなり無理があります。

都合の悪いことに、この階級の人たちの同僚や友達は、
本人同様、高学歴で海外の有名ブランドを
一通り知っている人たちですので、
ニセモノを買って使っていると、すぐに見破られ、
「あいつはニセモノを持っている」と後ろ指を差されて、
「没面子(めいみぇんつ、メンツが立たない)」な思いを
することになってしまうのです。

この階級の人たちが、
ニセモノブランド品を買うとすれば、
パンツとか靴下とか、
人に見られないものをこっそり買って、
こっそり使うことになります。

そして、「プロレタリア階級」。
この階級は、収入の低いホワイトカラー、
ブルーカラー、農民などで構成されます。

この階級の人たちは、一般的に、
ベルサーチとかプラダが、欧米の有名ブランドである、
ということ自体、知りません。
ニセモノを買う時も、
デザインと品質が良くて安い、という、
そのもの本来の価値のみを見て買います。

ですので、この階級の人たちは、
ニセモノベルサーチのTシャツだろうが、
ニセモノプラダのバッグだろうが、
何のうしろめたさを感じることもなく買って、
堂々と使います。

私が自由市場で会った農民のおばちゃんも、たぶん、
「そのベルサーチのTシャツ、おしゃれですね」と言っても、
「えっ、ベルサーチって何?」という感じだと思います。

中国のニセモノマーケットは、
こういった全く罪の意識のない、
「プロレタリア階級」の人たちによって
支えられているんですね。


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2006年3月10日(金)

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