第522回
世界第4位の経済大国

2005年、中国の国内総生産(GDP)は
2兆2,600億ドルとなり、
中国は、フランス、イギリスを抜いて、
世界第4位の経済大国になりました。

もう、中国の上には、
ドイツ、日本、アメリカしかいません。

中国の2005年のGDP伸び率は9.9%。
当初目標の8%を大幅に上回っています。
これに対して、2005年の消費者物価上昇率は
わずかに1.8%。
簡単に言えば、収入は10%近く上がっているのに、
物価は2%弱しか上がっていない、ということです。
まさに理想的な状態です。

日本の高度経済成長期、
日本経済は毎年10%以上の成長を見せましたが、
同時に、「狂乱物価」と呼ばれたハイパーインフレで、
物価も年々経済成長率と同じぐらい
上がってしまいましたので、
日本人はあまり豊かになっている、
という実感がなかったかもしれません。

しかし、今の中国のように、
経済成長率と物価上昇率に
これだけの差があれば、
国民はどんどん豊かになっていくことを
実感できるのではないでしょうか。

さて、世界第4位の経済大国に
のし上がったことについての
中国国内の反応ですが、
さぞ、鼻高々で、
ここぞとばかり国威発揚をするかと思いきや、
これが意外に冷静なのです。

新聞各紙は2005年の中国のGDPが
世界第4位になったことを伝えはしましたが、
「イギリスの人口は5,000万人、中国は13億人。
人口差を考えると、GDP総量を比べることに意味はない」とか、
「国民の生活水準は、隣国の韓国でも中国の15倍」とか、
「中国の2005年の1人当たりGDPは
約1,700ドルまで上昇したが、
同じ開発途上大国ブラジルの
2,700ドルにもはるかに及ばない」とか、
GDP信仰を戒める論調が多いようです。

中国って、なんか、最近、大人です。
将来を約束された王者の余裕さえ感じさせます。

一方の日本では、何度目かの中国ブームが去り、
特に、昨年の中国での反日デモ以降は、
中国について触れること自体が
タブーとなってしまったのではないかと思わせるほど、
メディアでの中国に関する報道が減っています。

更に、最近は日本国内の景気も持ち直し、株価も上がり、
次から次へといろいろな事件も起こったりするので、
国民の関心は日本国内の経済や社会に向けられ、
中国の存在など、頭の片隅に
追いやられてしまったような感があります。

しかし、日本人が中国を忘れている間にも、
中国の経済は成長し続け、
中国ビジネスで儲けている人は儲け続けています。

次に日本人が中国に目を向けた時には、
いつのまにか、日本のすぐ後ろまで
迫ってきている中国経済に気付き、
慌てふためくことになるかもしれません。


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2006年2月22日(水)

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