第519回
誰かから必要とされている

会社にも不要、妻にも不要、と言われた、
団塊世代のお父さんに、是非おススメしたいのが、
中国企業への就職です。

中国企業は日本企業と比べると、
技術や生産管理の面で
何十年も遅れている分野があります。
日本では陳腐化してしまった技術や生産管理方法でも、
中国に持ってくればまだまだ使える、
というものもあるかと思います。
そうした技術や生産管理のノウハウを持ったお父さんは、
中国企業も大歓迎です。

中国企業のお給料は安いかもしれませんが、
日本の年金と合わせれば、
中国ではかなり良い暮らしができます。

更に、中国の若い人たちは、
日本の技術や生産管理方法を習得すれば、
自分のキャリアアップに役立ちますので、
お父さんを「先生、先生」と呼んで、
目を輝かせて必死に学ぼうとします。

技術者にとって、こんなに嬉しいことはありません。

これは、こうした、
手に職を持った理系のお父さんに限った話ではありません。
営業、管理などの仕事をしてきた文系のお父さんにも、
サラリーマン時代に蓄積したノウハウがあるはずです。

お客さんを買う気にさせる営業の方法、
わかりやすいプレゼンテーションの仕方、
部下をやる気にさせる人事管理方法、などなど。

人数がやたらと多く、厳しい競争を強いられる中で、
40年近いサラリーマン人生を生き抜いてきた
団塊の世代です。
誰でも「これだけは他の誰にも負けない」
というものがあるはずです。

そうした「日本企業では当たり前だが、
中国企業では知られていない」
という知識やノウハウを、
中国の若い人に教えてあげればよいのです。

実際、経済雑誌などを読んでいると、
日本企業を定年退職した後に、中国企業に就職し、
若い人たちに技術やノウハウを教えている
日本のお父さんの特集があったりします。

そうした記事を読む限り、みなさん、
本当に嬉々として、生き生きと働かれています。
言葉はあまり通じなくても、中国人の若い部下を、
本当の息子のようにかわいがっています。

誰かから必要とされている。

この感覚は、おカネには換えがたいものです。
日本で会社にも不要、妻にも不要、と言われたお父さんも、
中国に来れば、そのアイデンティティーを取り戻し、
もう一花、咲かせることができるのではないでしょうか。


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2006年2月15日(水)

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