第508回
「ブログ」検閲

中国で言論の自由がないのは、
外国の報道機関だけではありません。
一般民間人の発言も常に監視されています。

日記風の簡易ホームページ「ブログ」。
日本でも大流行していますが、
ここ中国でも多くの人がこのサービスを利用しています。

「ブログ」は誰でも無料で自分の意見を
ウェブ上に載せることができ、
それを見た人が全国どこからでも
意見を書き込めるようになっていますので、
反政府的な書き込みがされた場合、
それが、全国に波及して、
反政府の世論が形成される可能性があります。
このため、中国政府は「ブログ」に書き込まれる内容に
目を光らせ、検閲を行っています。

昨年、グーグル、ヤフー、マイクロソフトなどの
アメリカ企業が、
中国の「ブログ」検閲に協力していることを問題視する声が、
言論の自由を求める団体からあがりました。

マイクロソフトは昨年5月から、
中国で「ブログ」作成サービスを開始しましたが、
「ブログ」サイト上で、
「民主主義」、「人権」、「台湾独立」、
「自由」、「デモ」など、
反政府的だったり、
抗議行動を連想させるような単語を入力すると、
「禁止語を削除してください」
という表示がされるようです。

アメリカ政府は中国政府に対して、
一貫して言論の自由を認めるように、
圧力をかけ続けてきましたが、
アメリカのIT企業は、そうした母国の理念より、
急成長が期待される中国市場の開拓を優先し、
中国政府の「ブログ」検閲に
協力することにしたようです。

先日、「志のない会社は、存在意義がない」
というお話をしましたが、
儲け続けるアメリカのIT企業に、
はたして志はあるのでしょうか。

こうして書いていくと、
中国は相変わらず共産党独裁の警察国家であり、
そんな国に住むことを考えると、
腰が引けてしまう方もいるかもしれません。
しかし、実際は、中国共産党の批判をしたり、
国家の転覆を図ったりしなければ、
ごく普通に生活できる国です。

こんな話をした後で、あまり説得力はないのですが、
みなさん、そんなにこわい国ではないので、
是非、中国に住んでみてください。


←前回記事へ

2006年1月20日(金)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ