第422回
中国の子供マーケット

中国の子供マーケットでは、
子供に購買の決定権はありません。
「教育ママ」がその財布の紐を握っており、
「子供の勉強に有益である」と判断すれば、
財布の紐を緩ませる、という構図になっています。

ですので、中国の子供マーケットを狙って
中国進出を果たした日本企業も、
日本とは様子が違うマーケットの反応に
戸惑いを隠せない様です。

まず、ベネッセコーポレーション。
同社は未就学児を対象とした、
楽しみながら学ぶ教材「こどもちゃれんじ」の
中国語版の試験販売を開始しました。
中国の「教育ママ」が好きそうな知育教材ですので、
滑り出しは好調の様ですが、
どうも中国の「教育ママ」は、
1〜2歳の子供には2〜3歳児用を、
2〜3歳の子供には3〜4歳児用の
教材を買い与える様です。
「他の家の子供より賢く育てたい」
という意識がものすごく強いんですね。

絵本のポプラ社も北京に進出してきています。
日本の絵本は、絵がきれいで、
文章は少なくても、心に訴えかける様な内容で、
どちらかと言うと、
子供の情操を育てる様なものが多いです。
しかし、中国の「教育ママ」はそういう絵本は好まず、
文字が多くて、子供が物の名前や字をたくさん覚えて、
直接的に学力がつく絵本を求める様です。
中には、余白の多い日本の絵本を見て、
「この余白には、子供に文字を書かせて学ばせるのか」
と訊いてきた「教育ママ」もいたそうです。

また、ゲームソフトのスクエアエニックスも、
中国でゲームソフトを開発し、販売しています。
日本では、ゲームソフトのユーザーは小中学生ですが、
中国では、大学生や社会人が中心なのだそうです。
小中学生には「勉強の邪魔になる」という事で、
親が買い与えない様です。

このように、中国の子供マーケットでは、
財布の紐を握っている「教育ママ」が
「子供の勉強に有益である」と判断してくれないと、
財布の紐を緩ませてくれません。
しかし、逆に言えば、「教育ママ」に
「有益である」と判断してもらえれば、
財布の紐はいくらでも緩む、という事です。

それこそ、日本が得意とする
「読めば読むほど歴史の勉強になるマンガ」とか、
「やればやるほど算数の力がつくゲームソフト」とか、
そういった「遊びながら学ぶ」系のものを売り出せば、
子供も欲しがりますし、「教育ママ」も喜んで
子供に買い与えるのではないでしょうか。


←前回記事へ 2005年7月6日(水) 次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ