第388回
キーワードは「コントロール」
中国政府の政策の最も重要なキーワードは
「コントロール」だと思います。
中国政府は常に、「コントロール」の権限を
手中に収めておきたい、と考えています。
逆に、「コントロール」というキーワードから考えると、
中国の今後の政策も見えてきます。
例えば、「必ずあるのだが、いつになるか分からない」
と言われている「人民元の切り上げ」。
最近、この「人民元の切り上げ」は、
「人民元の変動相場制への移行」と
ごっちゃにして語られる事が多いのですが、
中国政府にとって、この2つには大きな違いがあります。
私から見れば、「人民元の切り上げ」は
近々あるかもしれませんが、
「人民元の変動相場制への移行」は当面はあり得ません。
「コントロール」を重視する中国政府からしてみれば、
国内の景気や産業の動向に
大きな影響を与える人民元の為替レートを、
気まぐれな為替市場の手に委ねる事は、
自らの「コントロール」権限を放棄する事になります。
こんな事は、いくら激しい外圧がかかったとしても、
絶対に受けられるものではありません。
「人民元の変動相場制への移行」が実現するとしても、
それは、中国が「世界最強の経済大国」の地位を、
ゆるぎないものにした後です。
アメリカの外圧に負けて、
「コントロール」の権限を放棄し、
変動相場制に移行したとたんに、
急激な円高に見舞われ、
国内の輸出産業がコスト削減の為に、
血の出る様な努力を重ねた日本。
中国政府はこの日本のケースを、
非常によく研究しています。
日本の苦労を「他山の石」として
学習している中国政府が、
為替の「コントロール」権限を手放すことは
当分の間ないのではないか、
と私は思います。
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