第348回
1億人マーケットの「ど真ん中」

上海周辺は日本企業が工場を建設するのにも、
非常に適しています。

今から15年前、日本がバブル経済華やかなりし頃は、
日本企業の中国進出先はもっぱら大連でした。

大連は
日本から近い、
港も空港もある、
経済技術開発区が整備されている、
日本語を話せる人材が豊富である、
人件費が安い、
といった条件を備えており、
安くて豊富な労働力を利用した
日本への輸出基地を作るのには絶好の立地でした。

しかし、日本のバブルが崩壊し、
日本でモノが売れなくなってくると、
日本企業は勃興する中国市場に目を向けました。
「日本へも輸出するが、地元のマーケットにも販売したい」
となると、周辺の人口が少なく、
マーケットとしての魅力が薄い大連よりも、
1億人以上の人口を誇る、
上海周辺の長江デルタが注目される様になってきました。

長江デルタとは、
上海、杭州、蘇州、無錫、鎮江、南京などを含む、
揚子江下流の経済圏です。
こうした街の中心部は、
土地代も人件費も高いですが、
ちょっと郊外に行けば、
貧しい農村が広がっていますので、
安いコストで工場を建設、運営する事が出来ます。

中国経済が「面」ではなく、
「点」で発展しているお陰で、
1億人マーケットの「ど真ん中」で、
低コストの工場建設、運営が出来るのです。

ほんの250km四方の地域に、
日本の総人口に匹敵する数の人たちが住んでいる、
というのは、凄い事です。

現状、この1億人マーケットは、
ほとんどが低所得者層ですが、
この人たちが購買力を持ち始めたら、
1億人マーケットの「ど真ん中」に建設した
日本企業の工場がいくら増産しても、
全く追い着かないぐらいの巨大な需要が
発生するのではないでしょうか。


←前回記事へ 2005年1月14日(金) 次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ