| 第346回「昔は自転車で会社に通ってたんだよ」
 北京の街はものすごい勢いで開発が進んでいます。古い建物はどんどん取り壊され、
 その跡地に新しいオフィスビルやマンションが
 建設されています。
 しかし、その開発は各デベロッパーによる「点」の開発であり、
 行政による「面」の開発ではありません。
 お陰で、北京の街には、かなりの中心部でも、
 未だに昔ながらの胡同(ふーとん、路地)や
 平房(ぴんふぁん、レンガ造りの平屋の家)などが
 たくさん残っていたりします。
 この為、北京では以前よりは減ったものの、伝統的な「中国」のイメージである、
 自転車通勤の光景が今でも健在です。
 まだまだ、自転車で会社に通える
 街の中心部に住んでいる人がたくさんいる、
 という事です。
 しかし、今後、北京の街の中心部の開発が更に進むと、地価が上昇し、今の東京の様に、
 ごく一部の超高級マンションを除いて、
 街の中心部は人が住む所ではなくなってしまいそうです。
 北京の人口は現在、1,450万人。内、210万人(14%)が中心部、
 720万人(50%)が近郊、
 520万人(36%)が郊外に住んでいるそうです。
 これが2020年には、全体の人口が1,760万人まで増える見込みですが、
 中心部は190万人(11%)に微減、
 郊外は540万人(31%)に微増、
 これに対して、近郊は1,030万人(58%)に大幅増と、
 人口増加分のほとんどを
 近郊が吸収する形になる事が予想されています。
 北京も今後は、東京の様に、通勤片道1時間が常識となっていく事でしょう。
 「通勤地獄」なんていう言葉も流行るかもしれません。
 北京の良い所は、多くの人が自転車で通勤出来るぐらい
 職住近接である所なのに、
 経済が発展していくにつれて、
 似なくてもよいところまで、東京に似てきそうです。
 北京の人たちが自分の子供に「昔は自転車で会社に通ってたんだよ」
 と話して驚かれる日も、
 そう遠くはないのかもしれません。
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