第331回
「計画経済の時代は良かったねぇ」
ただ、最近は、中国の運転手でも、
日本人の様な
底意地の悪い運転をする人が増えてきました。
渋滞中に車線変更をしようとする車を、
意地でも入れなかったり、
無理矢理割り込んだ車に幅寄せしたり。
これは、北京の市街地の渋滞が
激しくなってきた事もありますが、
それ以前の問題として、
中国の人たちのストレスが大きくなっている事が
原因である様に思います。
以前、国民のほとんどが国有企業に勤め、
がんばってもがんばらなくても
給料が同じだった時代は、
どう考えてもがんばらない方がお得ですので、
誰もがんばらず、
仕事の上での競争というものが発生しませんでした。
しかし、誰もがんばらないと
いつまで経っても経済が発展しませんので、
中国政府は「社会主義市場経済」という
何だかよく分からない言葉を使って、
国民に競争を促し、
富める者から先に富める世の中にしました。
こうなると、同じ会社の中でも、
がんばった人は給料が上がりますが、
がんばらない人は給料が下がったり、
クビになったりしてしまいますので、
みんな必死になって働くようになります。
お陰で、中国経済は破竹の勢いで伸びていますが、
働いている人たちのストレスはどんどん大きくなり、
世の中はどんどん世知辛くなり、
中国人の長所である「大陸的おおらかさ」が
失われつつある様に思います。
一方の日本でも、最近は、
行き過ぎたアメリカ式「成果主義」の導入を反省し、
日本の古き良き伝統である
「終身雇用」や「年功序列」を
見直す風潮があるやに聞きます。
中国でももう少し経つと、
ストレスが極度に高まった人の
自殺や犯罪が社会問題となり、みんなが
「計画経済の時代は良かったねぇ」
と懐かしむ日が来るのかもしれません。
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