第255回
「ラーメン」と「拉面」
中国においしいラーメンはありません。
最近は日式ラーメン専門店を名乗るチェーン店も出てきましたが、
日本のいわゆる「行列が出来る店」のラーメンに比べたら、
足元にも及ばないレベルです。
ラーメンはもちろん、元々は中国のものです。
「拉面(らーみぃえん)」の「拉」は、「引っ張る」という意味。
引っ張って作る麺なので、「拉面」と呼ばれています。
中国の「拉面」が日本で「ラーメン」として
広く普及するきっかけとなったのが、
戦後、中国から引き揚げて来た人たちが始めた
ラーメン屋台だと言われています。
戦争が終わり、日本に帰って来たはいいが、
仕事など見つかる訳もなく、
「さて、これからどうやって食っていくべか」
と途方に暮れた末に、
「大陸で食ったあれ、やってみっか」という事で、
全国各地でラーメン屋台を引く人が増えた様です。
日本ではラーメンが普及して、
まだ50-60年しか経っていないにも関わらず、
研究熱心な日本人は、改良に改良を重ね、
今では、元祖中国の「拉面」をはるかに上回る、
おいしい「ラーメン」を作るに至りました。
一方の中国の「拉面」は、
2,000年の歴史があるにも関わらず、全然進歩してません。
元々、「拉面」はチャーハンやギョーザと共に
「主食(ちゅーしー)」と呼ばれ、
肉料理や魚料理などの「菜(つぁい)」を食べて、
まだちょっと足りない、という時に
お腹の隙間を埋める為のもの、という位置付けです。
そんな格下の食べ物を改良している暇があったら、
もっとおいしい肉料理や魚料理を考えろ!
という感じです。
中国では「主食」はそういう位置付けですので、
中国人の人が日本に行って、日本人のサラリーマンが
「ラーメン・チャーハンセット」や
「ラーメン・ギョーザセット」を食べているのを見ると、
「日本は豊かなのに、
なんであんなに貧しい食生活を送っているんだろう?」
と不思議に思う様です。
中国では「主食」を二つ頼んでお腹を満たす人はいませんし、
いたとしたらかなりお金に困っている人です。
こんな常識の国ですので、いくらおいしくても、
中国でラーメン屋をやって成功するのは、
至難の業だと思われます。
ただ、「湯(たん、スープ)」は「菜」と同格ですので、
ラーメンと違って、値段が高くても売れます。
麺を入れずに「おいしいスープが名物の店」として開店すれば、
勝算はあるかもしれません。
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