第248回
「プチ贅沢」族

北京では、毎日タクシー通勤は無理でも、
雨が降った時などは、思い切ってタクシーで通勤しちゃおう、
という小金持ちが増えて来ている様です。
私は昨年、自転車を3回連続で盗まれて以来、
自転車通勤には懲りて、タクシーで通勤しているのですが、
先日、雨が降った日には、
空車のタクシーが見つからず、往生しました。

以前であれば、雨が降っても、
一般庶民は色とりどりの自転車用雨合羽を着て、
自転車通勤していましたので、
空車のタクシーが無くなる事はありませんでした。
しかし、最近は、みんなだんだん小金持ちになってきて、
「ここぞという時にタクシー通勤する」
ぐらいの余裕は出て来ている様です。

最近の北京の消費者動向を見ていると、
毎日贅沢は出来ないけれども、
時々、タクシーに乗ったり、
時々、スターバックスでコーヒーを飲んだり、
時々、焼き立てパンを買ったり、という、
数十元(数百円)でちょっとした贅沢気分に浸れる
「プチ贅沢」を楽しむ人が増えている様な感じがします。

マクドナルドも中国では「プチ贅沢」です。
市場で肉と野菜を買ってきて、家で炒めて食べれば、
家族3人、1食10元(150円)以下で済みますが、
マクドナルドのバリューセット17元(255円)を3つ頼むと
50元(750円)を超えてしまいます。
日本の家庭では「今日はマクドナルドで済ますか」ですが、
中国の家庭では「今日はちょっと奮発して、
マクドナルドに行くぞ!おー!」なのです。

中国ではマンションや車などの
高額商品がバンバン売れている、という事が、
日本でも報道されていますが、
これは人口の母数が大きいので
バンバン売れている様に見えるだけであって、
比率から言えば、まだまだ大多数の人が
2,000-3,000元(30,000-45,000円)以下の月給で働いており、
いくらローンが普及したといっても、
数十万元(数百万円)もするマイホームやマイカーには
とても手が届かない状態です。

こうした大多数の一般庶民は、
本当の贅沢な生活は出来ないけれども、
時々「プチ贅沢」をするぐらいの余裕はあります。
1人1人の購買力を見れば、お金持ちには全く敵いませんが、
母数の大きさで、
全体ではかなりの購買力を持つ「プチ贅沢」族。
商品によっては、数少ない本当のお金持ちを狙うより、
「プチ贅沢」族をターゲットとした方が、
儲かるのかもしれません。


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