第233回
「高かろう良かろう」市場

150元(2,250円)の寿司定食や、
200元(3,000円)のカットが
ちゃんと売れている事からも分かる通り、
中国には「高かろう良かろう」市場が着実に育ちつつあります。
従来は「安かろう悪かろう」市場しかなかったのですが、
お金持ちが増えるに従って、
高くてもちゃんとした物が欲しい、
ちゃんとしたサービスが受けたい、という需要が増大し、
こうした「高かろう良かろう」の
物やサービスが増えてきました。

日系の電器メーカーの方に聞いた所、
今、中国で新製品を出すと、
その新製品のラインナップの中の
最高級機種から売れて行くそうです。
中国のお金持ちの消費傾向は日本と違って
「どうせ買うなら一番良いものを」である様です。

最近、日本でも中国のイメージが
「安価な労働力を背景とした生産基地」から、
「世界最大で最後の巨大市場」という捕らえ方に
変わってきています。
よく中国は「13億人の巨大市場」という言い方がされますが、
13億人を一つの市場として捉えては見誤ります。
ここで誤解があると、
「平均月収が1,000元(15,000円)にも満たない国の国民が、
どうして20万元(300万円)も
30万元(450万円)もする自動車が買えるんだ!」という、
とんちんかんな疑問を抱く事になります。

ざくっと言えば、中国は12億人の「安かろう悪かろう」市場と、
1億人の「高かろう良かろう」市場に分けられます。
12億人の市場の方は、まだ購買力がほとんどありませんし、
中国の会社が「安かろう悪かろう」の物やサービスを
既に腐るほど供給していますので、
相手にしても仕方ありません。
我々外国人が狙うべきは、
1億人の「高かろう良かろう」市場です。

「高かろう良かろう」市場の構成人数は
総人口の10%にも満たないのですが、
購買力という観点からみれば、
かなり大きな部分を占めそうです。
統計をとった訳ではありませんので、
はっきりとした事は言えませんが、
中国の人たちを金持ちの順に1億人並べて、
全員の収入を足したら、
日本人全体の収入を上回るのではないでしょうか。

よく中国の潜在市場規模の大きさを表現する時に、
「13億人の巨大市場」だから、1個1元(15円)の物を
1人に1個売るだけで、13億元(195億円)の売上になる、
と言い方をします。
しかし、実際には、沿海部・都市部の
「高かろう良かろう」市場の1億人をターゲットに、
1個100元(1,500円)の物を1人に1個売った方が、
よっぽど儲かりそうです。


←前回記事へ 2004年4月23日(金) 次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ