第194回
中国ビジネスの成否は「宴会」で決まる
ただ、「宴会」で死ぬほど飲んで、
死ぬほど食べるのも初めの内だけで、
お互い何度も会って信頼関係が出来れば、
「宴会」は商談の場となります。
商談、と言っても、
値段交渉や支払いなど具体的な話をするのではなくて、
両社の今後の合作の方向性や、新規ビジネスの可能性など、
大所高所からの話が主となります。
こういう話は、会議室でしゃっちょこばってするよりも、
おいしいお酒とおいしい料理を楽しみながらする方が、
お互いリラックス出来ますので、
話も良い方向へ向くというものです。
両社の代表者同士のコンセンサスが取れており、
両社が同じ方向を向いて仕事をしていけば、
細かい契約条件などは必ず何とかなる、というのが、
大部分の中国企業の考え方です。
そうした意味で、中国ビジネスの成否は「宴会」で決まる、
と言っても過言ではありません。
中国でビジネスをしていると、
中国企業の人たちを招いて「宴会」をする機会も出て来ます。
その場合、「点菜(でぃぇんつぁい、料理の注文)」が
うまく出来るかどうかは、
「宴会」の成否を決める重要なポイントとなります。
日本で高級中華料理店に行くと、だいたいコースが決まっており、
料理は1人1人に小分けされた状態で出て来ます。
しかし、中国では料理を1つ1つ注文し、
大皿で出てきた料理を各人が好きなだけ食べる、
というスタイルが普通です。
「点菜」する人は、前菜、肉料理、魚料理、野菜料理、
麺やごはんなどの主食のバランスを考え、
且つ、予算と人数を考慮に入れて
全員が量、質共に満足出来る料理を注文しなければなりません。
予算が限られている場合には、フカヒレやロブスターなど、
高級感のある料理をどーんとメインに据えて、
他の料理を安く抑えても全体の高級感を保つ、
という様な「裏技」も必要となります。
最低なのは、注文した料理の量が足りず、
急いで追加の料理を注文したはいいが、
そんなにすぐに料理が出て来る訳もなく、
食べ物が無くなってしまった丸テーブルを囲んで、
全員が沈黙する、という事態です。
斯く言う私も、北京駐在当初は何度もこうした事態を引き起こし、
冷や汗をかいたものです。
「宴会」での「点菜」は、ちょっと多目かな、
と思うぐらいに注文しておいた方が良さそうです。
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