第177回
「これ、ニセ札でしょ!」
先日、とうとう掴まされてしまいました。ニセ札。
娘の幼稚園の月謝の支払いをした時に、
「これ、ニセ札ですよ。他のと替えてください」
と言われてしまいました。
そのニセ札と言われた100元札を受け取ってみると、
確かに触った感じが他のお札と違います。
ただ、他のお札と比べてみても、微妙に違うだけで、
本当にニセ札かどうか分かりません。
かと言って、鑑定してもらう為に銀行に持ち込んで、
本当にニセ札だった場合は没収されてしまいます。
100元は1,500円足らずですが、
1,500円と言っても、やっぱり没収されるのは嫌です。
斯くなる上は、何か別の支払いの時に使ってしまおう、
と思うのですが、
日系幼稚園の月謝の支払いでチェックされるぐらいですから、
他の所では更に厳しいチェックが待っています。
タクシーで100元札を出すと、
運転手は必ず透かしと手触りを確かめます。
スーパーなどで買物をする時にも、
レジ係の所には必ずブラックライトを使った
簡易ニセ札鑑定機が置いてありチェックが入ります。
私の友人である北京在住のシングルマザー作家・浅井裕理氏も、
その著書「これ、ニセ札でしょ!」の中で書いていますが、
中国で生活する、という事は、
全国規模の「ニセ札ばば抜き」に参加している、という事です。
運悪く「ばば」を引いてしまったら、
如何にばれない様に「ばば」を誰かに渡してしまうか、
必死に考えなければなりません。
しかし、相手は百戦錬磨の中国人。
なかなか素直に「ばば」を引いてはくれません。
日本でニセ札が発見されると、
テレビのニュースで報道されたりして、
割と大きな事件扱いになりますが、
中国ではニセ札は日常の一部です。
中国の人たちは、100元札を受け取る時に、
透かしと手触りを確認する事が、
既に習慣になってしまっています。
こんなに大量のニセ札が流通する様になった原因は、
ニセ札を銀行や公安局に持っていくと
没収されてしまう事にあると思います。
そのまま没収されてしまうのは誰でも嫌なので、
ニセ札を掴まされても誰も届け出ず、
「ばば抜き」の様に流通し続けてしまうのです。
全国規模の「ニセ札ばば抜き」をストップさせ、
ニセ札を市場から駆逐する為には、
ニセ札製造業者を摘発する事も大切ですが、
ニセ札を掴んでしまった人も銀行に行けば
本物と替えてもらえる様にする必要があると思います。
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