第164回
そんな事したら、部下が育っちゃうでしょ!

日本では部下を育てる事もマネージャーの重要な仕事の1つです。
しかし、中国では運良く有能なマネージャーを雇えたとしても、
彼が自分のノウハウや人脈の肝の部分を
部下に与える事はまずありません。
そんな事をしたら部下が育ってしまい、
自分の地位を脅かす可能性があるからです。

そんな考え方ですから、中国人のマネージャーは
単純作業や簡単な仕事は部下にやらせますが、
事業の肝となる部分は全て自分でやってしまいます。
そうなると、
マネージャーは大忙しであちこち駆けずり回っているのに、
部下はやる事が無くて事務所でボケッとしている、
という状態になります。
こんな事ではせっかく雇った人材が活用出来ませんし、
後進も育ちません。

マネージャーが仕事を囲い込むのは、
おいしい所を部下に取られてなるものか、
という気持ちもあるかと思います。
これは仕事にもよりますが、
マネージャーともなれば、取引先から接待を受けたり、
リベートを受け取ったり、というチャンスも増えます。
部下に仕事を任せると、
こうしたチャンスをみすみす逃す事になります。

先日も当社に、
日本の大手電器メーカーの中国人マネージャーの人がわざわざ来て、
当社が中国総代理をしているEE.NETWORKという
IP電話の代理店に加わりたい、という話をしてきました。
こちらは「誰でもが名前を知っている大手電器メーカーが
代理店になってくれるなんてすごい!」
と思って聞いていたのですが、よくよく聞いてみると、
「コミッションは私個人に頂きたい」という話でした。

月3,000元(45,000円)とか4,000元(60,000円)とかの給料で、
どうして20万元(300万円)もする自動車や、
80万元(1,200万円)もするマンションが買えるのか、
不思議だったのですが、
皆さん、こうやってしたたかに副収入を稼いでいたんですね〜。

中国人マネージャーも自分の生活がかかっていますので、
保身に走るのは分かるのですが、
老板としては、仕事が出来るだけではなくて、
ちゃんと部下を育てて、
自律的に回っていく様な組織を作ってくれる
日本企業の中間管理職の様なマネージャーがいる方が
有り難いです。


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