第149回
巨象に立ち向かうクロネコ

私が北京で丸紅を辞めて、中国事務所代行会社を立ち上げてから、
丸2年が経ちました。
以前もお話ししました様に、無謀にも何の商権も持たず、
全くの徒手空拳で始めてしまいましたので、
最初は全く仕事が無く、収入の目処も立たず、
もうダメかと思いました。
しかし、その後、パートナーやお客様に恵まれ、
今では何とか妻と3人の娘を
養っていけるだけの収入を得られる様になりました。
本当に有り難い事です。

中国事務所代行の仕事をしていて非常に楽しいのは、
業務委託を頂いているお客様が
様々な業界にわたっていますので、
今まで知らなかったそれぞれの業界の
仕組みや収益構造が勉強出来る事です。

現在、当社が継続的な業務委託を頂いている日本企業は
3社あります。
これら3社はそれぞれ「体力系」「IT系」「芸術系」と
全く毛色が違う業界に属しており、
各社ともそれぞれ非常におもしろい事業を展開されています。

「体力系」の会社は
「クロネコヤマトの宅急便」でお馴染みのヤマト運輸です。
当社はヤマト運輸海外引越の北京・華北地区代理店をしています。
仕事としては、日本人が日本から中国に引っ越してくる場合、
又は、日本人が中国から日本に帰国する場合の、
中国側の通関、輸送手配、配送、梱包などを担当しています。
この他に、北京市内の引越、北京から上海など中国国内の引越も、
当社独自の事業として行っています。

「体力系」と言っても、
実際の引越作業は以前にもお話しした通り、
中国最大の運輸会社、「シノトランス」の
引越部門に委託していますので、
当社の役割は、
中国側のサービス水準を日本並みに引き上げる為に、
「シノトランス」を指導する事、
お客様への対応を全て日本語で行う事、などとなります。

北京の海外引越市場は、
従来、海外引越最大手の会社がほぼ独占していました。
この市場に、新参者として、
サービスの良さを武器に挑戦する訳です。
「巨象に立ち向かうありんこ」ならぬ、
「巨象に立ち向かうクロネコ」という構図になっています。
ポジション的には、
非常にチャレンジングな、おもしろい仕事です。

しかし、引越の仕事は「うまく行って当たり前」の仕事ですので、
サービスを良くする以前の問題として、
絶対に失敗をしない様に、常に気を張っていなければなりません。
特に北京は大都市ではありますが、
日本人の人口は1万人ほどしかいません。
日本人をターゲットにした場合、
「人口1万人の村」で商売をする様なものです。

こういう所では、悪い噂はすぐに広がります。
逆に口コミはどんな派手な広告よりも効果を生み出します。
故に、まずはご縁があって
当社の引越サービスをご利用頂いたお客様のお引越を、
1件1件心を込めてお手伝いしていく事が、
延いては、
将来的なマーケットシェアの拡大につながると考えています。


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