第124回
開発独裁は「善」か「悪」か?
「独裁」というと、ナチスを想起させるせいか、
「悪」というイメージが強いですが、
「開発独裁」という言葉がある様に、
経済発展の為には民主主義より、
独裁体制の方がずっと有利だと思います。
それは、何十年経っても輪っかにならない東京の環八と、
着工後1-2年もすればきれいな輪っかになる
北京の環状線を比べても、一目瞭然です。
アメリカが言う様に、
独裁体制下にある国の国民は、人権も保証されておらず、
みんなが悲惨な生活を強いられているか、
というとそんな事は無く、
少なくとも中国の人民は、
大部分が独裁体制下にある事も意識せず、
それなりに楽しく人生を送っているのが現状です。
朝の満員電車、
徒歩と地下鉄を乗り継いでの営業、
深夜までの残業、
休日の行楽地への渋滞、
ディズニーランドの2時間待ちの列、
雨の中のゴルフ。
民主主義国家の首都、東京の生活と比べると、
独裁体制国家の首都、北京の生活の方が、よっぽど人間的です。
では、なぜアメリカが中国の人権や民主化に、
ああまで口を出してくるのか。
本気で「民主主義は世界で最も優れた制度である」
と考えているのかもしれませんが、
中国の側からみれば、これはどう考えても
中国の経済発展を遅らせる為の陰謀としか思えません。
自分達が民主主義のハンデを背負いながら、
長い時間を掛けて培ってきた経済的繁栄を、
独裁体制の利点を最大限に生かした中国が、
ほんの僅かの時間で達成し、
アメリカ1強体制の対抗軸として
台頭してくるのを恐れているのでしょう。
1989年の天安門事件では、学生が民主化を要求しましたが、
もし、あのまま中国が民主化されたとしたら、
その後10年間の目覚ましい経済発展があったかどうかは疑問です。
天安門事件の学生達の背後には、
中国の改革開放政策の成功に危機感を強めた
アメリカの陰謀があったのでは無いか、
とまことしやかに囁かれるのもこの為です。
ま、中国でビジネスをするに当たって、
よっぽど大きな事をするのでなければ、
中国が独裁体制であろうが、アメリカの陰謀があろうが、
直接の影響を受ける事は無いと思うのですが、
こうした事柄がどこをどう回って
自分のビジネス環境に影響を及ぼすか分かりませんので、
中国の内政、外交の動きはもちろんの事、
世界の大きな流れの中での中国の位置付け、役割に就いては、
常に目を光らせておく必要があるかと思います。
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