第115回
国有企業に勤めるという事
国有企業の福利厚生は至れり尽せりで、仕事も楽ですが、
その代わり給料は低いです。
毎日出勤して、適当に仕事をして、定時に退勤して、
家でご飯を食べて寝るだけならば、
ほとんどお金は掛からず、生活は保障されていますが、
給料が低いので、休暇の度に海外旅行に行ったり、
車を買ったり、という事はなかなか難しいです。
将来的に出世する為には、共産党員になる事が必須であり、
出世の条件は仕事の実力より、共産党員として優秀か、
会社の共産党幹部と良好な関係にあるかが重要になってきます。
但し、社内政治を駆使して、何とか出世出来たとしても、
国有企業の幹部になる、という事は、
プロレタリアートの代表になる、という事ですから、
給料はさほど上がりません。
以前、地方の国有企業の総経理(社長)に月給を訊いた所、
3,000元(45,000円)という答えが返ってきて、
ビックリした覚えがあります。
これでも平社員や経理(部長)に比べて、
はるかに高い給料なんだそうです。
大学進学率2%の中国において、
日本よりずっと激しい受験競争を勝ち抜いて大学に入り、
大学時代も一心不乱に勉強を続けてきた優秀な人達が、
大学を卒業して果たして国有企業に就職したいと思うでしょうか。
生粋の共産党員でも無い限り、もっと自分の実力を生かせて、
将来に希望が持てる様な会社に就職したい、
と思うのでは無いでしょうか。
これでは、雇用の安定と福利厚生と仕事が楽な事が目当ての、
ダメ人材ばかりが集まってしまいます。
やはり優秀な人材は、実力次第で給料がどんどん上がる
私営企業や外資系企業に行きたがる人が多い様です。
私営企業や外資系企業は、福利厚生がほとんど無く、
仕事も忙しく、能力が無いとすぐに解雇されてしまいますが、
実力があれば、国有企業では絶対に有り得ない様な
高額の収入を得る事も夢ではありません。
中国の若くて優秀な人材が、
安定はしていますが可処分所得が少なく、
将来が見えてしまう国有企業より、
雇用は保証されませんが、可処分所得が多く、
将来に希望を持てる私営企業や外資系企業を志向するのは、
私には非常に良く理解出来ます。
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