第91回
若くて優秀な中国企業の経営者
駐在員として赴任したとしても、現地採用で就職したとしても、
はたまた中国で起業したとしても、
今の中国で働くチャンスを得る事は
非常にラッキーな事だと思います。
経済成長している国で、その勢いやスピード感を感じながら、
前向きな仕事をするのは楽しいものです。
日本から北京に出張で来られる方とお話しすると、
皆さん、北京の勢いを肌で感じられる様です。
元々中国の人たちは声が大きいので、
勢いがある様に感じるのかもしれませんが、
それを差し引いても人々の表情が
日本の人たちに比べてずっと明るいそうです。
スピード感という点では、
青島のハイアールと三洋電機の包括提携が象徴的です。
新聞記者に「なぜパートナーに三洋電機を選んだか」
と訊かれたハイアールの会長は
「当社は年率80%で成長しているので、
組む相手の経営にスピードが無ければ一緒に進む事が出来ない。
これまで別の日本企業とも交渉してきたが、
この点で話にならなかった。
しかし、三洋電機にはスピードがある」と答えたそうです。
三洋電機は同族会社で、
ハイアールとの交渉も井植会長が陣頭指揮を執って
トップダウンで行った事が功を奏したのでは無いでしょうか。
これが、普通の日本企業の様に
「まずは稟議を上げて」などとやっていたら、
提携は実現しなかったでしょう。
中国企業の経営のスピードが上がっているのは、
経営者が30代、40代まで若返っているせいかもしれません。
かなり大規模な国有企業でも、
40代ぐらいの人が総経理(社長)になっている企業が
珍しく無くなってきました。
これは今50代の人が子供の頃に文化大革命が起こり、
彼らはまともな教育が受けられなかった為、
会社の経営が出来る様な人材が育たず、
その下の世代に経営を任せなければならない、
というやむを得ない事情によるものです。
こうした30代、40代の総経理は、
みんな優秀な上に大きな権限を与えられているので、
決断も早いです。
日系企業の駐在員が面談して
「本件は日本の本社の意向を聞いてから、再度ご連絡します」
などと言おうものなら、
「お前は子供の使いか?」とばかにされてしまいます。
はっきりした人なら
「時間の無駄なので、
意思決定の権限を持った人と面談させてください」
と言われてしまいます。
20年前、アメリカを始めとする欧米諸国に
「本社の意向を仰がないと、何にも決定出来ない」
と揶揄された日本企業の駐在員ですが、
今は、中国で同じ事を言われています。
経営のスピードを上げる為には、
現地法人や駐在員事務所への権限の委譲は必須なのですが、
日本企業には未だにそれが出来ていない会社が多い様です。
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