第88回
厳しい北京の就職戦線
北京のファンは多いです。
北京ファンに言わせると、上海は面白くないと言います。
上海は北京や中国の他の都市より
ずっと便利で近代化されているのですが、
東京ほど最先端のものが溢れているかと言うと、
そんな事は無い。
「中国以上、日本未満」という中途半端な上海だったら、
むしろ、「もろ中国まる出し」の北京の方が面白い、
というのが北京ファンの主張です。
北京に留学して、北京ファンになり、
卒業後もどうしても北京で暮らしたい、となると、
北京で職を見つける必要があります。
中国に長期滞在する為には
Zビザと呼ばれる就労ビザを取得しなければならないからです。
しかし、北京で職を見つけるのは、非常に難しいです。
中国企業への営業と日本の本社への連絡ならば、
日本語を話せる中国人の方が、
ずっと役に立つ上に、給料も安いです。
逆に、そうした中国人スタッフの管理や
本社との調整作業をするのは、
やはり日本の本社で勤務経験があり、
本社の事情や考え方を良く理解している日本人駐在員の役割です。
こうなると、現地採用の日本人の就職先は
日本人向けにサービスを提供している
ホテル、日本人用マンション、日系航空会社などに限られてきます。
その中でも日本人に求められる仕事は
「どうしても日本語を話せる中国人には勤まらない仕事」
だけですので、そんなに大量の求人がある訳ではありません。
日系の工場が多い上海や華南地域は、
北京に比べると日本人に対する求人が多く、
月給も20,000元(30万円)前後を提示している会社が多いですが、
北京はいろいろ聞いている話ですと、
10,000-15,000元(15-22.5万円)ぐらいの会社が多い様です。
それも、中国語がぺらぺらで、社会人経験がある人の話で、
留学を終えたばかりの新卒者を採用する企業は
余り無い様です。
長引く不況で失業率が高止まりする日本を飛び出し、
勢いのある中国での就職を考える方もいらっしゃるかと思いますが、
特に北京では、
現地採用の日本人の就職戦線は非常に厳しいのが現実です。
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