第71回
北京の環八、五環路

国家から立ち退きを命じられた人達は、
さぞ悲しんでいるかと思いきや、
どうも喜んでいる人達の方が多い様です。
立ち退きの対象になると、
その補償として郊外の新築マンションを
あてがわれたりするからです。
今の家より新しく、広い家に移れる事を悲しむ人はいません。
そうした「立ち退き成金」を夢見て、
自分の家が道路建設予定地になったり、
再開発の対象になったりするのを
心待ちにしている人達もいる様です。
成田空港の建設反対派の人達が聞いたら、
「君たち、目を覚ませ〜!」と叫びたくなる様な状態です。

こうして、今、北京の人達の住居はどんどん郊外に移っています。
このままで行くと、あと10年もしない内に、
市街地にはオフィスビルと超高級マンションばかりが建ち、
一般の人の住宅は全て郊外、
という東京の様な街になってしまいそうです。

北京は東京と同じ様に、環状道路があります。
天安門を中心として、内側から二環路、三環路、四環路です。
完全な輪になっているのはここまでで、
五環路は一部開通していますが、まだ建設中の所が多いです。
更にその外側に建設予定の六環路は、
北京空港よりも外側を走る事になっています。

7年前の1996年に私が北京に来た時は、
四環路の外側は農地が広がり、
人が住む所では無いと思っていました。
それが、今では、四環路と五環路の間は、
新築マンションの建設が最も多い地域になっています。
私が住んでいた「望京新城」というニュータウンも
四環路と五環路の間にあります。

日本が高度成長期を迎える前までは、
東京の世田谷区も畑ばかりの田舎であったと聞いています。
それが、今では高級住宅地です。
世田谷区には環状八号線が通っていますが、
これは今の北京では五環路に当たるかと思います。

東京の副都心、新宿から7kmぐらい離れた上北沢が
環七と環八の間にある様に、
北京の副都心、燕莎エリアから7kmぐらい離れた「望京新城」は
四環路と五環路の間にあります。
距離的にもだいたいのイメージは合います。


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