第65回
トヨタがあの時中国に進出しなかったのは失敗だった
中国では日本の自動車産業の中国進出に対するイメージは
余り良くありません。
と言っても、私が車の話を聞くのは、
もっぱらタクシーの運転手さんからですので、
偏った意見ばかり聞いているのかもしれませんが、
私が日本人だと分かると、
多くの運転手さんが異口同音に言うのは、
「トヨタがあの時中国に進出しなかったのは失敗だった」
という話と、
「シャレードなんか中国に持って来やがって、バカにしてんのか!」
という話です。
まず、「トヨタがあの時中国に進出しなかったのは失敗だった」の
「あの時」ですが、
これは中国が外国の自動車会社を誘致しようとしていた時の事です。
中国政府は中日友好を鑑み、
まずは日本最大の自動車会社であるトヨタに、
中国での生産を打診したそうです。
しかし、トヨタは
「中国の自動車市場はまだ成熟していない」という理由で、
その誘いを断りました。
困った中国政府は、
今度はドイツのフォルクスワーゲンに打診した所、
同社は2つ返事で了承し、
吉林省長春市と上海市に工場を作りました。
このお陰で、フォルクスワーゲンは高い関税の壁に守られ、
巨大な利益を得ただけでなく、
ドイツの国としての中国への発言力も増しました。
ドイツは政府が中国との長期的な関係を重視する戦略を持って、
その一環としてフォルクスワーゲンを中国に進出させました。
一方の日本は、目先の利益しか考えない民間企業に判断を任せて、
政府が出てこないから大きな魚を逃すんだよ、
だめだねぇ日本は、と、簡単に言うとこんな様な話です。
話の真偽の程は分からないのですが、
複数の運転手さんから全く同じ話を聞きましたので、
少なくとも世間ではこういう事になっている様です。
トヨタは昨年、天津に工場を作り、
「ヴィオス」という車の生産を開始しています。
この車は、車体が大きく高級感がある割には、
価格が11万元(165万円)からと、割安である事から、
注文が殺到しており、
既に6ヶ月前後の納車待ち状態、と聞いています。
しかし、タクシーの運転手さんに言わせると
「中国がWTOに入って車の値段が下がってから
入ってきても遅すぎるんだよねぇ」との事です。
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