第49回
外資に対する敷居の高さ
さて、北京で会社を作るに当たって、問題となったのは、
外資に対する敷居の高さです。
外国人が外資として中国で投資する為には、
現地企業との合弁企業を作るか、
100%外資の独資企業を作るかする必要があります。
この合弁企業や独資企業を設立する際の
最低資本金が非常に高いのです。
独資企業を設立しようとすると、
最も最低資本金が低いコンサルタント会社でも
15万米ドル(約1,800万円)を資本金として振込む必要があります。
他の業種になると、
業種毎にもっと高い最低資本金額が設定されています。
中国は基本的に、外国人の個人が
小さな商売をやる様な環境にはありません。
こんな額は、とてもではないですが、
一介のサラリーマンの私がポンと出せる金額ではありません。
かと言って借金もしたくありませんでしたので、
合弁企業や独資企業の設立は諦め、
中国国内の内資企業として設立する事にしました。
内資企業にした場合、
最も最低資本金が低いコンサルタント会社ならば
10万元(約150万円)で設立する事が出来ますが、
もちろん中国人でなければ設立する事が出来ません。
私は田さんにお願いして、
会社の法人代表者になってもらう事を承諾してもらいました。
形としては、私が田さんに
資本金20万元(約300万円)分のお金を貸し、
田さんが自分の名義で会社を設立し、
私はその会社に総経理として雇われ、実際の仕事をする、
という風になります。
この方法なら、全く違法性無く、
内資企業を設立する事が出来ますが、
田さんとの信頼関係が非常に重要になってきます。
田さんとは20万元の貸借契約がありますが、
会社にそれ以上の価値が出た場合は、
この会社は元々田さんの名義の会社ですので、
田さんは「この会社は自分のものだ」と主張する事も出来る訳です。
その場合、私はこの会社には雇われている立場ですので、
解雇されても文句が言えませんし、
もちろん、本当は自分の会社だと主張する事も出来ません。
又、田さんの立場に立ってみても、私が会社で違法な取引をしたり、
訴訟の対象になったりすれば、
その責任は全て法人代表である田さんの所に来てしまいます。
この方法は、田さんの様に、付き合いが長く、
信頼し合える関係にある中国人のお知り合いの方がいる場合以外は
お薦め出来るものではありません。
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