第30回
安定より金とチャンス

中国の大学進学率は2%強と言われています。
「なんつっても、庄屋んとこの子せがれは学士様だがらよう」
では無いですが、中国では大学を出た、というだけで、
既に、かなりのエリート、という事になります。

又、中国の大学では、毎日の様に大量の宿題や課題が出され、
アルバイトや恋愛どころではない、と聞きます。
一生懸命勉強しないと卒業出来ない様です。

さて、こうしてアルバイトや恋愛も打ち捨てて、
わき目も振らず勉強してきたエリート大学生が、
就職するとしたら、どちらの会社を選ぶでしょう。

1) 給料は月3,000元(45,000円)程度。
10年働いても、20年働いても、
いつまでも本国から来る駐在員の下働き。
めったな事ではクビにならないが、出世しても課長止まり。
月給は上がっても6、000-7,000元(90,000-105,000円)程度。

2) 給料は実力次第。スキルや実績により
入社2-3年目で給料が月10,000元(150,000円)を超える人も。
実力があれば、仕事も任せてもらえる。
仕事が出来ない、と判断されればすぐクビになるが、
認められれば昇進し、
総経理になって月30,000-40,000元(450,000-600,000円)の
給料をもらうのも夢じゃない。

中国ならば、どう考えても2)ですね。
1) の条件ではやる気の無い人材を集めたいとしか思えません。
お察しの通り、1)は北京の日系企業、
2) は北京の欧米系企業の中国人スタッフに対する
平均的な待遇です。

こんな状況ですので、
北京の大学生や外資系企業に勤める中国人スタッフの間では、
日本語より英語の方が金になる、というのが常識になっています。
このままでは、今後、
日本語を学習する人が減ってしまうのではないかと危惧します。

今後、日系企業がコストを削減するとすれば、
高コストの日本人駐在員を減らして、
ローカライゼーションを進めるしかありません。
優秀な現地の人材を採って、
ローカライゼーションを進めるとすれば、
すぐにでも欧米系企業式の人事管理に切り替える必要が
あるのではないでしょうか。


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