12月13日(金)
晴れ、風力3以下
最高気温5℃、最低気温−7℃
風が無ければ、昼間は比較的暖かいです
第19回
石炭王国、中国
そう言えば、先週は上海万博も決まりましたが、
ロシアのプーチン大統領も北京に来ていました。
江沢民国家主席との会談で、
東シベリアの油田から黒龍江省の大慶油田まで、
約2,400kmの石油パイプラインを引く事で合意に至った事は、
日本のニュースでも取り上げられました。
中国は1993年から石油の純輸入国に転落しました。
以降、石油の生産量は増加しているのですが、
それを遥かに上回る消費量の増加に全く追い付けず、
石油輸入量は現在、年間7,000万トンまで増加し、
その輸入量は更に増加する事が予想されています。
エネルギーの供給確保は、中国の今後の経済発展の鍵となる為、
外貨の流失を最も嫌う中国政府としては、
背に腹は変えられない、
苦渋の選択だったのではないかと思います。
しかし、中国のエネルギーの主役は石油ではありません。
中国のエネルギー消費に占める石油の割合は20%弱。
主役は70%弱を占める石炭です。
日本で「石炭」と言うと「過去の遺物」というイメージです。
私も丸紅に意気揚揚と入社して、
時代の最先端を走る様な仕事をする事を夢見ていたのですが、
「石炭部」に配属された時はかなり落胆したのを覚えています。
中国では、石炭会社に入る人はエリートです。
何しろ、国家のエネルギー需要を背負って立つ仕事ですから。
しかし、中国政府は石炭への依存比率を
50%程度まで下げる方針でいます。
技術の進歩で炭塵を抑えたり、
硫黄分を下げたりする事が出来る様になっているのですが、
それでも他のエネルギーに比べると、
石炭はクリーンなエネルギーとは言い難く、
二酸化炭素の排出による地球温暖化への影響などを考えても、
石炭の消費は今後抑えざるを得ないのが現状です。
中国としては、自国にいくらでもある石炭の消費を減らして、
足りない分を石油、天然ガスの輸入で補い、
その結果、外貨の流失を招くのは、
非常にやるせないものがあると思います。
この為、自国の石炭を生かす為、脱硫や石炭の液化など、
いわゆるクリーンコールテクノロジーの開発には、
並々ならぬ努力をしていますが、
エネルギー構造を変える様な実用化にはまだ至っていない、
というのが現状です。
エネルギー安全保障や外貨保有高の事を考えたら、
「石炭を燃料として走る自動車以外は走行禁止法」
の制定ぐらいやりたい所ですが、
そんな事をすると「中国は産業革命の時代に戻ったのか」
などと諸外国にバカにされるので、
それはメンツが許さないのでした。
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