第76回
経営学! 経営の基本のキホン その10

さて、前回では公式を使って【Aのケース】と【Bのケース】の資本利益率を導き出しました。ページを戻ってもらうのも面倒なんで、両ケースを再掲しておきます。

【Aのケース】
粗利益率50%の商品を販売して、代金回収は専門のシステムを利用するので支払いは翌々月(2ヶ月)の場合。

  資本利益率=50%÷2ヶ月=25%

【Bのケース】
粗利益率35%の商品を販売して、代金回収はゆうパックの代引きサービスを利用するので1ヶ月以内の場合。

  資本利益率=35%÷1ヶ月=35%

さて、この2つのケースを比べてみると、一見Aのケースの方が利益率では大きく上回っており、儲かりそうに思えますが、資本利益率ではBのケースの方が優れています。 この結果をどう読むのか?

この結果が意味することは、このようになります。まず、AのケースよりもBのケースの方が経営的には安定しているといえます。特に取り扱い商品が高額な場合、この傾向が顕著に現れます。もちろんビジネス上は粗利率が非常に重要ですが、支払いサイト(註1)が延びると、経営的には資金繰りが苦しくなります。ですので、Aのケースが経営を改善したいと考える場合は、いかに売上回収期間を圧縮するのかがカギとなります。具体的には代金回収システムの変更を検討してみましょう。

一方のBのケースでは、1ヶ月以内の売上回収期間なので、これ以上短縮化させるのは難しいといえます。経営を改善させるためには「粗利益率」の向上を目標とするしかありません。具体的には、取り扱い商品の価格設定見直し、商品のグレードアップ、取り扱い商品の変更、などが考えられる方法です。

このように、数値として経営の指針が明確化できる「資本利益率」の算出方法。ぜひアナタのオンラインショップ経営にも役立てて下さい。


註1: 手形等が振り出されてから現金化されるまでの期間。


←前回記事へ

2003年1月4日(土)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ