弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第763回
追い出すにもお金がかかる

前回、借主が賃料を支払わない場合、
原則3ヶ月分滞納するのを待たなくては
賃貸借契約を解除することはできない
というお話をしました。

さて、今回は3カ月以上滞納した場合
追い出すのにお金がかかるというお話です。

借主が家賃を払わない場合、
電気やガスを止めたり、建物の鍵を変えたり、
建物内の荷物を勝手に出したりしてしまっても
よいと考えている大家さんは少ないかもしれませんが、
結構います。

しかし、これらは「自力救済」と言って、
法律上認められていません。

賃貸借契約を解除したとしても、
借主を追い出すのであれば、裁判をする必要があります。

ここで、明渡のための弁護士費用がかかります。
弁護士費用は弁護士によっても、
建物の家賃によっても変わって来ます。

建物を明け渡すよう判決が出ても、
お金がないから出て行けないという借主もいます。

そういう場合は、
強制的に荷物を搬出することとなります。
しかし、その強制的な荷物の搬出は、
裁判所の強制執行という
手続によらなければなりません。

この荷物の搬出は、
建物の中の物を短時間で、段ボールに詰め、
何を搬出したかわかるよう目録を作成したりします。
この建物明渡の作業をする業者は、専門の業者がいて、
費用は通常の引越業者と比べると結構高いです。

建物の大きさや荷物の量にもよりますが、
数十万円から100万円以上かかる場合もあります。

このように、賃料不払いをされたときは、
不払をされて賃料が入って来ない上に、
弁護士費用や強制的な明け渡し費用などで
貸主はかなりの出費を伴います。

不動産投資(不動産賃貸)には、
このようなリスクがあります。

だから、会社や個人を入居させるときは、
慎重に審査する必要があるのです。


←前回記事へ

2012年7月19日(木)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ