弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第756
司法書士は遺産分割の依頼も受けられません

前回、司法書士は140万円以下の簡易裁判所での代理しか
できないというお話をしました。

司法書士は、みなさんに代わって登記手続をするのが仕事です。
そこで、不動産に関する専門家とも言えそうです。
しかし、司法書士が専門家なのは、
あくまでも不動産登記についてです。

自宅を買ったり、もらったりしたときの所有権移転登記、
お金を借りるときの抵当権設定登記、
遺産分割をしたときの相続登記など、
登記手続については詳しいです。

しかし、不動産の売買や贈与でトラブルになったとき、
抵当権を勝手につけられてお金を借りられてしまったとき、
遺産分割でもめたときに
どうやって解決すればよいかについて詳しいかというと
そういうわけではありません。

やはり、これらの紛争を解決するのは、弁護士の仕事なのです。

前回お話ししたとおり、
司法書士は140万円以下の紛争であれば
みなさんから依頼を受けて、裁判をすることができます。

しかし、140万円を超える不動産の売買や贈与のトラブル、
抵当権を勝手につけられお金を借りられてしまったなどについては、
みなさんの依頼を受けることはできません。

また、遺産分割の調停や審判は、簡易裁判所ではなく、
家庭裁判所の事件となりますので、
司法書士はみなさんから依頼を受けて、相手と交渉したり、
調停をしたりすることはできません。

このように、司法書士は、基本的に、
みなさんから登記手続の依頼を受けることが仕事で、
140万円以下の簡易裁判所の事件のみ交渉や
裁判の依頼を受けることができるようになったものなので、
制限があります。

これらの点に注意して、司法書士に相談したり、
依頼をしたらよいと思います。


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2012年6月21日(木)

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