第708回
亡くなったら預金が下ろされていた
相続の本を書いているせいか、
相続の相談を受けることは多いです。
その中で、多いのが、お父さん、お母さんが亡くなって、
預金を調べてみたら、
多額の預金が下ろされていたというものです。
通常、お父さんやお母さんと同居していた
兄弟が怪しいということになります。
例えば、お父さんと同居していた長男が、
お父さんに無断で、預金3000万円を下ろして、
自分のために使っていたというケースで説明します。
お父さんの相続人は、
長男、長女、次女とします。
もちろん、長女と次女は、
長男にそれぞれ1000万円ずつ返還請求
あるいは損害賠償請求ができます。
これは、どういうことかと言うと、
長男がお父さんの預金を無断で取ったのだから、
本来は、お父さんは、長男に3000万円の預金を返せと言えます。
このお父さんの長男に対する
3000万円の返還請求(損害賠償請求)を、
長男、長女、次女が法定相続分に従い相続したとすると、
各人1000万円ずつ相続することとなります。
そこで、長女と次女は、
それぞれ1000万円ずつ
長男に請求できるということになるわけです。
このケースで、
他に自宅の土地建物で6000万円の遺産があったとします。
その場合には、長男に、
お父さんの3000万円の返還請求(損害賠償請求)を相続させて、
長女と次女が、自宅の土地建物を相続する
ということもできると思います。
しかし、実際のケースでは、長男は、
3000万円の返還請求について認めず、
争ってくることが多いので、そう簡単に解決しないのです。
具体的にどんな争いになるかは、
次回にお話しします。 |