弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第680回
未公開株は換金できない

一般的に上場していない会社の株式を「未公開株」と言います。
だから、上場していない会社の株式を、
この会社は近い将来上場すると嘘を言って、買わせるのが、
未公開株詐欺です。

詐欺でなくても、上場していない会社の従業員や取締役は、
経営者からお金を出してくれと言われて、
株を持つという場合も少なくないようです。

あるいは、取引先から、
「うちと取引するのであれば、
出資をしてうちの会社の株を持って欲しい」と言われて、
株を持つこともあります。

問題は、その後です。
従業員や役員は、いつかは辞める時が来ます。

取引先も、取引が無くなる場合もあります。
いざ、会社を辞めるとき、取引が無くなったときに、
従業員や役員や取引先は、
会社に株を買い取って欲しいと思います。

しかし、会社法上、会社に対し、
自分の株式を買い取って欲しいということが認められるのは、
合併に反対したのに合併が
賛成多数で可決されたときなど特殊な場合しか認められません。

株主は、基本的に、
会社に株式を買い取ってくれという権利はないのです。

上場企業であれば、株式を持っていても、
値段さえ気にしなければ自由に市場で売却することができます。

しかし、上場していない未公開株を
買ってくれる人を見つけることは、かなり難しいです。
すると、どうなるかと言うと、
会社にも買い取ってもらえないし、
買い取ってくれる第三者を見つけることも難しいということで、
ただ、株主として、株を持っているということになるだけです。

その会社が利益を出して配当をしてくれればよいですが、
上場していない会社で配当をしている会社は少ないことから、
株主としては、経済的にリターンがないということになります。

株主としては、毎年株主総会に出席し、
利益を上げて配当をするよう
意見を言うくらいしかできることがありません。

経営者に不正があれば、株主代表訴訟で損害賠償請求をしたり、
背任罪で告訴したりすることができます。

しかし、それでも、株主にお金が入るわけではありません。
未公開株とは、以上のようになかなかお金にならない株なのです。

上場していない会社の株式を持って欲しいと言われたときは、
一定期間が過ぎたら会社あるいは経営者が買い戻す
という一筆を書いてもらった方が良いと思います。


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2011年9月6日(火)

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