第675回
裁判は書面主義です
裁判では、主張を裏付ける証拠が必要だということは、
みなさんご存じだと思います。
証拠の中でも、書類が、重要な意味を持ちます。
人の証言は、中立的な人や専門家の証言であれば
信用性も高まりますが、一般的には、あまり価値がありません。
人の記憶は、確定的ではないし、客観的に検証できないからです。
だから、証拠書類が、重要視されるのです。
特に、相手の署名捺印がある書類は、
相手がその内容を認めたことになるので、証拠価値は高くなります。
逆に、こちらで作った書類は、
こちらの言い分が書いてあるだけなので、
あまり証拠価値は高くないことが多いです。
このように、裁判では、証拠も書類が重要視されますが、
裁判での主張も、書面で行います。
その理由は、口頭で話すよりも、
書面にした方が、主張は明確になります。
口頭で裁判をすると、
口頭でのやり取りを忘れないよう記録にとる必要がありますが、
書面であれば、それを綴るだけで済みます。
主張を全て口頭ですると、時間がかかります。
複雑な事件や主張をすることが多い事件では、
主張に何時間もかかってしまうことになります。
しかも、口頭では、主張が抜けてしまう恐れもあります。
このようなことから、裁判では、主張も書面で行うこととなり、
裁判は、書面のやり取りをする場となっています。
だから、実際の裁判は、証人尋問や和解以外は、
書面のやり取りで、5分くらいで終わってしまうことも多いのです。
しかし、それは、時間や労力を無駄にせずに、
効率的に裁判を進めるための手段で、
合理性を追求した結果なのです。
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