弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第661回
採用リスクを軽減するには

前回、人を採用するのは難しく、
リスクがあるという話をしました。
今回は、その採用リスクを軽減するための
法律上の手段を説明します。
 
それが、試用期間の設定と身元保証契約の締結です。

試用期間の設定というのは、
3か月とか6か月の間、採用者側が、
従業員に仕事の能力、適性があるかを見極めるための
期間を設けることを言います。

通常の解雇は、裁判で争おうと思うと、
なかなか難しいのが現状です。

しかし、試用期間を設定すれば、
通常の解雇よりも広い理由で解雇することができます。

勤務態度が悪い、協調性がない、
業務に対する適性がないなどの理由で、解雇することができます。

ただ、試用期間であれば
どんな従業員でも解雇できるわけではなく、
合理的な理由が必要で、
事前にどの程度の仕事のレベルが要請されるかなどの説明が
必要とされる場合もありますし、
雇い主側で従業員に対し
教育や指導を行ってもできなかった
という事情が必要な場合も多いと思います。

また、試用期間が2週間以上の場合は、
試用期間であっても解雇予告は必要となります。

採用リスクを軽減するもう1つ手段としては、
身元保証契約を締結し、
身元保証人を付けるという方法があります。

これは、採用した従業員が会社のお金を流用したりして、
会社に損害を与えたような場合に、
身元保証人に賠償してもらうという契約です。

これにより、誤って違法行為を行うような
従業員を雇ってしまったとしても、
損害を回復することが可能になります。

この身元保証契約は、期間を定めないと3年限定となり、
期間を定めるとしても
5年が最長ですから、注意が必要となります。

5年後も身元保証が必要だと考えたら、
身元保証人と更新契約を結ぶ必要があります。

これらにより、
人の採用リスクは少しだけ軽減されることとなります。

でも、人を採用するのが難しいことには
変わりがないかもしれませんね。 


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2011年6月21日(火)

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