弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第654
登記は弁護士でもできる

登記を依頼すると言えば、
みなさんご存じのとおり、司法書士です。

では、弁護士は、登記の依頼を受けられるでしょうか?
この点、弁護士会と司法書士会で、
考え方が分かれていました。

弁護士は、当然、
登記の依頼も受けることができるという立場でした。
これに対し、当然、司法書士会は、
弁護士は、紛争解決に必要な範囲でしか
登記の依頼をすることができないという立場でした。

どちらも、自分たちの職業に有利に考えていたわけです。
これについては、裁判で争われ、決着がついています。

事案は、次のとおりです。
弁護士が顧問先から委任を受けて、
増資の登記をしたところ、司法書士会の会長が、
弁護士の依頼者に向かって、
弁護士が登記の依頼を受けるのは
違法だというような内容の文書を送ったのです。

そこで、弁護士が司法書士会の会長に対し、
文書送付行為が弁護士の名誉を棄損するものとして、
損害賠償請求をしたのです。

裁判所は、弁護士は、
法律に関する業務の依頼を受けることができることから、
一般的に登記手続についても
依頼を受けることができると判断しました。

そして、弁護士が登記の依頼を受けることを違法だ
という文書を弁護士の依頼者に送った行為は
名誉棄損となるとして、
弁護士の損害賠償請求を認めました。

そこで、弁護士が登記の依頼を受けることができることが、
明確になったのです。

法律上できるとしても、
やるかやらないかは、弁護士次第です。

僕も、会社の設立や役員変更、
会社分割など会社関係の商業登記は引き受けることにしています。

それから、不動産に関係するものは、
抵当権の抹消や相続登記など簡単なものは、引き受けています。

不動産の所有権移転登記や抵当権設定登記については、
ちょっと難しい点があるので、
登記の専門家である司法書士に依頼してもらうこととし、
必要があれば知り合いの司法書士を紹介することとしています。


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2011年5月24日(火)

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