弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第635回
それなら民事再生をしてしまえば

前回、借金を減額して、
営業を継続する民事再生手続きなどがあるという話をしました。

支払を減額して営業を続けられるのであれば、
どの会社も民事再生手続をした方が得じゃないか
と考えた人も多いかもしれません。

しかし、どの会社も民事再生手続などで再建できる
というわけではありません。

それは、前回ご説明したとおり、
過去の借金や支払を除いて毎月の収支が黒字、
即ち利益が出なければなりません。
毎月赤字の会社では、民事再生手続はできません。

会社は黒字でないと存続できません。
赤字でも存続できている場合は、
それまでの内部留保や借入で赤字を補っているだけなので、
減額した借金や支払いを払うことができないのです。

しかも、民事再生手続により、
会社を再建しようと考えたときに、
それまでの顧客や売掛先、
仕入先などが離れないで取引を継続してくれるか
ということが問題となります。

特に、民事再生により、
支払が減額となる仕入先や買掛先が、
民事再生手続後も、
同じように取引をしてくれるかというと、
なかなか難しいものがあります。

また、顧客や売掛先は、
民事再生を申し立てるような
経営に不安のある会社の商品を今後も買ってくれるか
という問題も発生します。

さらに、民事再生を申し立てすれば、
金融機関は、その後融資をしなくなります。
したがって、一時的な資金繰りが必要な場合、
民事再生申立後は借入に頼ることができないのです。

これらのことを少なくともクリアする見込みがないと、
民事再生により、会社は再建できないのです。

だから、経営が苦しい会社は、
みんな民事再生手続をして身軽になる
というわけにもいかないのです。


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2011年3月15日(火)

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