弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第632回
保険金で家は建たない

前回は、保険はなかなか出ないときがあるという話をしました。

今回は、保険金を請求して保険金が出たとしても、
新品を購入できないというお話です。

家については、みなさん、火災保険をかけていると思います。
これは、万が一、家が火災で焼けてしまっても、
保険金で、新しく建てなおすためのものです。

しかし、不幸にも火災で家が焼けてしまって、
保険金を受け取れたとしても、
それだけでは家は建たないというケースがあります。

それは、保険会社がインチキしているのかというと
そうではありません。

保険というのは、基本的に、
保険をかけている物の現在価値を保障するためのものだからです。

保険というのは、家が燃えた時点での家の価値を保障するもの、
ということは、
家が新築のときは
家が建つ金額に近い金額が保険金で保障されるけれども、
家が古くなると、その中古の家の価値しか
保険金で保障しないということなのです。

そういう保険では、
家が古くなったときに保険をかけていたとしても、
古くなった家の価値しか保証されませんから、
大したお金をもらうことができません。

要するに、保険をかけていた意味がないということになります。

火災保険には、新築の建物を保障する保険もあるようです。
しかし、当然ながら、保険料は高くなります。

どちらの保険に入るかは、みなさんの判断ですが、
常に新築できるだけの保険金が出るわけではないということは
注意した方がよいでしょう。

前回説明した自動車の盗難保険ですが、これも、同じで、
新車が盗まれれば、新車の価値に見合う保険金が出ますが、
古い自動車が盗まれれば、
古い自動車を買うだけの保険金しか出ません。

事故で自動車が壊れたときも
新車を購入するだけの保険金はなかなか出してくれません。
保険で出るのは修理代だけです。

ご注意ください。


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2011年3月3日(木)

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