弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第623回
遺産分割や離婚が電話でできるように

日経新聞によれば、遺産分割や離婚などの調停手続が
電話やテレビ会議でできるようにする
法律改正案が作成されたそうです。

まだ、法律の改正案段階で、
今の国会の状況で
この法律案が通るかどうかはわかりませんが、
できるようになれば画期的だと思い、
取りあげることにしました。

離婚は、調停前置主義と言って、
離婚について夫婦が争っている場合に、
離婚の裁判をしようと思ったら、
まず、調停をしなければなりません。
(僕は、この調停前置主義自体、無駄だと思っています)

この調停は、相手の住所地に申立をしなければなりません。
例えば、相手が妻を捨てて、札幌に行ってしまい、
妻は生活のため鹿児島の実家に戻ってしまった
というケースで、
妻は、離婚するためには、
相手の住所地に離婚調停を申し立てなければなりません。

そして、調停のために、
わざわざ札幌に行かなければならないのです。

これまでも、調停が終わって、裁判になれば、
一方当事者が遠方にいる場合は、
電話で裁判をすることができました。

だから、調停なんかしないで、
いきなり裁判をさせてくれればいいのにと思っていました。

離婚は、調停を不成立にすれば、
裁判(訴訟)では、電話による裁判の仕組みがありますが、
遺産分割は、調停が不成立になった後は、
訴訟ではなく、審判という裁判手続なので、
これまでは、電話での裁判手続はできませんでした。

親が田舎に財産を残して亡くなったけれど、
子供たちは、日本全国に散らばっているなどということは、
現代社会では珍しくありません。

このようなケースの遺産分割の場合は、
解決するまで、毎回、
わざわざ遠方の裁判所に出頭しなければならなかったのです。

これが、電話やテレビ会議でできるようになると、
かなり便利になります。
早く法律の改正案が通ってほしいものです。


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2011年2月1日(火)

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