第611回
差押さえるなら不動産が一番ですが
最近、差押をする方、
される方の相談に乗ることが多いので、差押の話をしています。
土地や建物といった不動産は、
預金のように簡単に無くすことはできませんし、
それなりの価値があるので、
差押をして売却できれば、
債権額を一挙に回収できる可能性は高いです。
しかし、債務者が会社の場合、
自社ビルや自社の工場を持って
営業をしている会社の方が少ないと思います。
しかも、お金を払わないような会社は、
自社ビルや工場を持っていれば、
銀行から融資を受ける際に、
既に担保に入れてあることが多いです。
債務者が個人の場合でも、自宅は賃借しているケースも多く、
持ち家であったとしても、
住宅ローンの担保に入っているケースが多いです。
今のように、不動産が値下がりしているときには、
不動産に付いている担保の金額よりも、
不動産の売却見込額の方が低いというケースも出てきます。
そういうケースでは、せっかく、
債権者が債務者の不動産を差押さえて売却しようとしても、
裁判所は、債権者に配当見込みがないとして、
差押さえて競売する手続を中止してしまいます。
すると、債権者が裁判所に支払った
不動産差押や評価にかかった費用
(通常50万円から100万円くらい)は無駄になって、
債権者は損をすることになります。
したがって、債務者が不動産を持っているときは、
不動産を差押さえて競売にかけるのが良いのですが、
抵当権が付いているか、
その残債はいくら残っているのかなどを推測して、
差押の申立をする必要があります。
債務者に不動産があれば回収が確実かというと、
なかなかそうでもないのが現実です。
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