弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第605回
共有はいつでも解消できる

前回は、土地や建物などの不動産を共有にしておくと、
お金が欲しいときに自由に売却できないし、
その利用や管理についても、
費用や収益の分配方法などで揉める可能性があるので、
できれば共有にしない方が良いというお話をしました。

今日は、実際、共有にしていて
管理や利用などで揉めてしまった、
あるいは、共有にしている物件を換金したい場合は、
どうするかというお話です。

法律では、共有状態は、いつでも、
解消することができることとなっています。
この共有状態の解消を「共有物の分割」と言います。

共有物の分割には、
(1)実際に共有物を分ける「現物分割」、
(2)共有物を売却して代金を分ける「代金分割」、
(3)共有者のどちらかが単独所有者になって取得した持分に
見合う金銭を支払う「価格賠償」
の3通りの方法があります。

(1)の現物分割では、土地を分筆して分けることとなります。
土地を分筆するときには、道路付けや南側か北側か、
その他周辺の環境などとの関係で、
どちらの土地の価値が高いかという問題が生じるので、
同じ面積になるように分ければよいというものではありません。

土地の上に建物が建っているような場合には、
土地だけ現物分割をしても仕方がありません。

そこで、物件を売却して分ける(2)の代金分割が
分け方としては簡単です。

しかし、一方の共有者が
土地に建物を建てて使用していたりすると、
売却しにくいという面があります。

そういう場合利用されるのが(3)の
価格賠償ということになります。

一方が売りたくない、あるいは、
一方が利用しているというような事情がある場合には、
売りたくない、あるいは利用している共有者が、
他方の共有者の持分を買い取って、
共有状態を解消するということになります。

この分け方も、利用の実情や共有者双方の意向を
反映させられるので、合理的とも思えるのですが、
実際には、共有物を売却しないので、
持分の対価としていくらを賠償するのが妥当かという点で、
揉める可能性を含んでいます。

このように、共有物の分割は、
共有当事者の考え方をすり合わせて、
最もよい分け方を選択していくということになります。

分ける手続としては、まず、当事者間で分け方を話し合い、
それでも解決できないときは、裁判を起こして、
裁判所に分け方を決めてもらうということになります。


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2010年11月25日(木)

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