弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第593
離婚で、妻が住み続けるケース

前回から、離婚の際に、
住宅ローンはどうなるか?というお話をしています。

住宅ローンが夫名義で、
妻が住み続けるケースでは、
どういうことが問題になると思いますか?

土地建物自体を誰の名義にするかが問題となります。
妻が住み続けるのだから、
妻の名義にすることを考えますが、
当然土地建物は、住宅ローンの担保となっています。

住宅ローンの担保に入っている土地建物の名義変更は、
住宅ローンの契約書における担保の処分に該当すると
銀行から言われ、
住宅ローンの一括払いを請求される可能性があります。

だからと言って、土地建物を夫の名義にしておくと、
夫が借金などの担保に入れるかもしれないし、
夫の債権者が差押をしてくるかもしれません。

夫が破産すれば、土地建物を失う可能性があります。
妻が土地建物に住み続けるケースでは、
よく、夫が生活費代わりに住宅ローンを支払っていく
という約束をすることが見受けられます。

しかし、妻側はこれで安心というわけにはいきません。
離婚してしばらくしたら、
夫は、妻の知らないうちに住宅ローンの支払いを止めており、
妻は、裁判所の執行官が建物を見に来て、
土地建物が競売にかけられたことを知ったということもあります。

このことからすれば、
妻が銀行から住宅ローンの借り換えをして、
土地建物も妻名義、
住宅ローンも妻名義とするのが一番よいのです。

しかし、妻に、収入がない、
連帯保証人がいないなどの事情があると、
住宅ローンの借り換えはできません。

そこで、このようなケースでは、
その夫婦の具体的状況によって、どの点を解決し、
どの点はリスクとして負担するか
ということを話し合って決めることとなります。


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2010年10月14日(木)

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