弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第585回
雇用問題は難しい

最低賃金を上げるかどうか、
年功序列賃金が良いのか、成果主義が良いのか、
解雇を容易にした方がよいのか、
これまでどおり難しくした方がよいのか、
派遣などの非正規社員はなくして、
正社員にした方がよいのかなど、
雇用問題について、いろいろ議論されていますが、
なかなか難しい問題です。

おそらく、最低賃金は上げて、年功序列賃金にして、
解雇は難しくして、派遣などの非正規社員をなくして、
従業員は正社員だけにすることができるなら、
そうした方がよいとは思います。

しかし、最低賃金の問題1つ取ってみても、
賃金は、世界が比較対照となっており、
同一労働に対し、他国と比べて高いということであれば、
最低賃金を上げたため、
日本では、その労働(仕事)は成り立たない
ということになってしまいます。

最低賃金を上げると成り立たない労働や
仕事がどれくらいあるかはわかりませんが、
それだけ日本における収入は無くなってしまう可能性があります。

その一方で、主にヨーロッパでは、
最低賃金が日本よりも高い国があります。

それらの国では、
日本で最低賃金を上げると
成り立たないと言われている労働や仕事は成り立っているのか、
それともその国でやるのは諦めているのか。

最低賃金で働いている人は、
全労働者の何%で、最低賃金を上げると、
どれくらい生活が改善されるのか。
など、どちらが良いか判断する前提として、
気になることはあるのですが、
政策を提言している民主党のホームページにも、
書かれておりません。
もちろん、自民党のホームページには書かれておりません。

景気が良くなれば、低い賃金では人が集まりませんから、
自然と賃金が上昇するとは思いますが、
この不景気の時代で、ただでさえ、
日本は人件費が高いと言われているのに、
(円高でさらに海外に比べ割高となっています)
最低賃金を引き上げることは大丈夫なのかと、
漠然と不安になります。

その一方で、最低賃金が日本よりも高い国はあるのだから、
日本がそれで成り立たない
ということもないのではないかとも思います。
賃金全体を上げるのではなく、
上げるのは最低賃金ですからね。

その辺があいまいなので、
雇用問題を解決するのは難しいと感じるのかもしれません。

景気が良くなれば解決する問題で、
景気が良くなる見込みがあまりないので、
難しいのかもしれません。


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2010年9月16日(木)

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