第578回
相撲協会の弁護士解任騒動
相撲協会が、 野球賭博を解明する特別調査委員会や
ガバナンス(統治能力)の整備に関する
独立委員会のアドバイザーを務める弁護士を
解任するというメールを送りながら、
批判を浴びて、すぐに撤回をするという騒動がありました。
おそらく、相撲協会は、
顧問弁護士に相談はしていないと思いますが、
弁護士に相談するとどうなるかというお話をします。
弁護士との契約を解任することができるかと
質問を受けたとします。
弁護士とのアドバイザーとしての契約は、
法律上、委任契約ということになります。
委任契約は、期間を定めて契約したとしても
(相撲協会が弁護士と契約書を交わしたかはわかりませんが)、
法律上、いつでも解約できることとなっています。
ただし、相手不利な時期に解約したときには、
損害賠償をしなければならないということになります。
例えば、仕事の準備をしてしまっていた場合には、
その分まで含めて報酬を支払うなどです。
したがって、法律的に、質問に回答するなら、
相手にとって不利な時期でなければ、
あるいは、相手に不利な時期でも、少しはお金を払っても、
契約を解約して辞めさせたいのであれば、
法律上は、解約することは可能と回答します。
しかし、この弁護士は、
相撲協会の不祥事を正すために選任されたはずです。
しかも、野球賭博を解明する特別調査委員会や
ガバナンス(統治能力)の整備に関する
独立委員会などの仕事は、
調査報告の結果をまとめて発表したわけでもなく、
ここで、弁護士に落ち度もないのに
不祥事の調査と是正をするための
専門家である弁護士を解任したら、
世間や文部省から批判を受けることは、明らかです。
だから、質問に対しては、
法律上は、解約できるけれども、
何の合理的な理由もなく解約したら、
世間の信頼は回復できなくなるから、
解約は止めた方がいいというアドバイスになります。
相撲協会は、顧問弁護士には、
相談していないと思いますが、
顧問弁護士が聞かれても、
相撲協会の質問や説明の仕方、
弁護士の性格や仕事の仕方などによって、
回答は変わってきてしまいます。
弁護士への相談は、
なるべくその目的や背景を説明して、相談した方がよいし、
相談する弁護士も目的や背景を踏まえて
回答してくれる弁護士に相談する方がいいです。
相撲協会は、公益目的の公の存在なので、
何かするときに、顧問弁護士に相談しながらする
ということが大切かもしれません。
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