弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第571回
愛人のいる人は、遺言を

愛人は、仮に、一緒に住んでいたとしても、
相続権はありません。
だから、男性名義のマンション等に一緒に住んでいて、
男性名義の預金で暮らしているような場合、
男性が無くなると、
明日の生活費にも困るような状況になります。

ただし、過去の判例上、
男性名義のマンションが他の相続人に相続されたとしても、
居住権だけを主張できることとなっています。 

しかし、マンション自体は、
愛人のものにはなりませんから、
その使用については、
本妻や子供と揉めることとなる可能性は高いです。

また、愛人が預金も下ろして使ってしまうと、
後で、本妻や子供から、
返還請求を受けることとなってしまいます。

そこで、愛人に自分の財産を残してやりたいのであれば
遺言書を書いておく必要があります。

自分が死亡する前に、
いわゆる生前贈与の方法で、
お金やマンションを渡しておくのも、1つの方法です。

ただ、生前贈与をした場合、愛人がそれを換金して、
逃げてしまうというリスクもあります。

家族に対しても、遺言書を書く人は少ないですから、
愛人に対し、遺言書を書く人は、もっと少ないと思います。

遺言書に、愛人に贈与(遺贈)すると書くのは、
愛人を自分の死後に公に認めることになるからです。
もちろん、遺言書には、
名前を書くのであって、愛人とは書きませんが。

戸籍上の妻や子供には、遺言書がなくても、
遺産が行くので遺言書がなくても良いのですが、
愛人には、遺言書がなければ遺産は全く行きませんから、
愛人がいる人は、その辺を考えてあげる必要があると思います。

自分が愛人であるという方は、
婚姻制度があるので、
法律上は、非常に厳しい立場にあります。

よくよく自分の将来の生活については、
考える必要があります。


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2010年7月27日(火)

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