弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第569回
プロ野球選手でなく所属球団に承諾権限が

テレビ視聴率が下がったなどと言われるプロ野球ですが、
プロ野球選手は、子供の憧れであり、
大人の興味を引く存在です。

そこで、このプロ野球選手の名前や顔、
キャラクターを利用して、
商品を開発して売ろうということもあると思います。

実際、プロ野球のゲームソフトや
プロ野球選手のカードなどが商品として売られています。

商品開発の際に、この承諾は、
プロ野球選手から承諾してもらえばよいのか、
所属の球団から承諾をしてもらえばよいのか、
さらには、両方から承諾を得なければならないのか。
この点については、長年議論され、
裁判も続いてきましたが、遂に決着しました。

ちなみに、顔写真や
キャラクターを利用する権利を「肖像権」と言います。

最高裁判所は、
選手の氏名や顔写真などの肖像権の利用については、
プロ野球選手が所属球団と契約を結ぶ際に、
所属球団に利用を認める規定があるのだから、
承諾権限は、所属球団にあると、判断しました。

裁判で、プロ野球選手側は、
契約の内容が、一方的で、
選手はそれ以外の内容で契約を結ぶ方法がないのだから、
不当で無効だという主張もしました。

プロ野球選手の契約は、統一契約書ということで、
それ以外の内容で選手と球団が契約を締結できなくなっています。

しかし、裁判所は、選手に、
氏名や肖像権の利用について使用料の分配もあって、
選手が独自に氏名や肖像権を利用する方法もあるのだから、
無効ではないと判断しました。

みなさんにとっては、プロ野球選手は、
高額の年俸をもらっているのだから、
肖像権の商品化権が、球団にあろうと、選手にあろうと、
どちらでもよく、あまり関心はないかもしれません。

しかし、弁護士など法律家からすると、
なかなか難しい問題を含む興味深い問題でした。

最高裁が結論を出したので、
これで決着したことになります。 


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2010年7月20日(火)

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