第560回
無登録業者を学校が宣伝
少し前になりますが、
大阪の小学校が、旅行業者のチラシを生徒に配り宣伝したところ、
その旅行業者は無登録で、
しかも、ツアーを中止したにもかかわらず
代金の返金に応じないという事件が報道されました。
旅行業の無登録営業は、違法であり、罰則があります。
小学生、中学生などは、子供ですから、
判断能力は余りありません。
学校がチラシを配り勧めれば旅行に行きたくなります。
親も、子供が行きたいと言えば、
それだけでも、断りにくいと思います。
ましてや、学校がチラシを配布し、勧めているのであれば、
なおさら断りにくいです。
学校が紹介宣伝するというのは、
そのくらい影響力を持ちます。
それにもかかわらず、
この小学校は、その業者がどのような業者なのかを確認もせずに、
生徒に勧めてしまったのです。
このようなことがあると、
もちろんそうではない先生もいるのでしょうが、
「やっぱり学校の先生は世間知らず」と思ってしまいます。
と思っていたら、何と、
大阪府の教育委員会は、
この無登録業者の企画したツアーに、
11回も後援をしていたのです。
この業者は、無登録にもかかわらず、
官のお墨付き(推薦)を得て、
商売をすることができたというわけです。
教育委員会によると、
「後援の申請の数が多く法律違反の有無などは精査できない」
ということのようです。
それは、官が後援してくれるなら、
対外的な信用や宣伝効果は大きいですから、
多くの業者は後援を求めるでしょう。
これに対し、教育委員会は、
後援したときの生徒や父兄などへの影響の大きさから、
対象事業者の調査ができないのであれば、
後援しなければよいだけだと思います。
学校や教育委員会が推薦や
後援した業者が被害者を出したときには、
地方自治体が
税金で賠償しなければならなくなる可能性もあります。
そうなると、「先生は世間知らず」だけでは済みません。
だから、このコラムで取り上げました。 |