弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第543回
占い師は結婚と別れの両方の相談を

前回、占い師が元プロ野球選手に対し、
口止め料を請求したという話をしました。

占い師に対する相談内容が紛争解決に関するアドバイスであり、
弁護士の仕事に関係するので、
弁護士の仕事を知ってもらう意味で取り上げました。

この占い師の話には、
もう1つ大切なことが含まれていたので、今回も取り上げます。

新聞報道などによると、
この占い師は、一方で、元プロ野球選手には、
女性と別れさせるためのアドバイス料を請求し、
他方で、女性には、
元プロ野球選手との結婚をまとめるための
アドバイス料を請求していたようです。

要するに、この占い師は、
男性には、どのようにしたら女性と別れられるかをアドバイスし、
女性に対しては、
どのようにしたら男性と別れずに結婚できるかを
アドバイスしていたということです。

対立している当事者の双方から
相談、あるいは依頼を受けて、適切なアドバイスをしたり、
適切な解決をしたりすることができるはずがありません。

一方の利益を図れば、
他方が不利益になる関係にあるからです。
このような立場を、利益相反関係にあると言います。
コンフリクトとも言います。

弁護士は、この利益相反関係にある当事者の双方から、
相談に乗ったり、依頼を受けたりすることを、
弁護士法で禁止されています。

弁護士は、紛争当事者の一方から相談を受けると、
依頼を受けないとしても、
他方の当事者から相談を受けてもいけないし、
依頼はもちろん受けることができません。

このように、有料で紛争解決の相談や依頼を受けるのには、
基本的に弁護士の資格が必要とされている代わりに、
弁護士は、みなさんが安心して紛争解決の相談や
依頼ができるように、
法律や弁護士会のルールで規制を受けているのです。

占い師やコンサルタント、債権回収代行などは、
前回お話したとおり、弁護士ではないので、
有料で紛争解決の相談や依頼を受けることができません。

だから、相談や依頼を受けること自体、もともと違法なので、
相談や依頼を受けるときのルールはないのです。

みなさん、トラブルに巻き込まれたときに、
焦って変な人に引っかからないようにしてください。 


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2010年4月6日(火)

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