弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第512
弁護士バーは許されない?

弁護士が増えて、弁護士が余っているとか、
就職できないなどという話は、
このコラムでも取り上げていますし、
新聞、テレビ、雑誌などのマスコミにも、取り上げられています。

そこで、弁護士が顧客開拓として考えたのが、
「弁護士バー」です。

問題となっている弁護士バーは、新聞報道からすると、
飲食事業者と弁護士が設立した社団法人が共同で、バーを経営し、
弁護士がバーテンダーを務め、
お客から希望があれば、
別室で法律相談を受けるというもののようです。
収入は、飲食事業者と社団法人が折半するようです。

法律相談したい人が気軽に弁護士と知り合える店
というコンセプトらしいですが、
それはみなさんにとっても、
弁護士にとっても良いことだとは思います。

しかし、弁護士法では、
弁護士以外が法律相談事業で収入を得ることを禁止していますし、
それを禁止するために、
弁護士を紹介して収入を得ることも禁止しています。

問題になっている弁護士バーだと、
弁護士でない事業者が、
弁護士を紹介して収入を得ることができ、
あるいは、法律相談事業を営める
ということになってしまうので違法だと思います。

しかし、弁護士が、弁護士でない事業者と共同でなく、
自分でバーを経営すれば、違法ではないと思います。

だから、問題となっている弁護士は、
弁護士バーを経営しようと思ったら、
自分でバーを経営すればよかったわけです。

ただし、お酒を飲みながら、
気軽に法律相談をしたいという需要はあるのかもしれませんが、
法律相談というのは、
きちんとした事実関係に基づいて、
裁判になったらどうなる見込みか、
どういうリスクがあるかなどを説明しアドバイスするものなので、
お酒を飲んだお客さん相手に
法律相談をしてよいかという問題はあります。

酔ったお客さんが、きちんと事案を説明したり、
弁護士の説明を正しく理解したりできない場合も予想され、
トラブルになる可能性もあります。

弁護士会は、この点も問題にしているようです。
このことを踏まえると、
お酒を出す「弁護士バー」でなく、
コーヒーを出す「弁護士カフェ」を
弁護士自らが経営すればよいということになりそうです。

ただ、これにも、弁護士は、営利事業を営む場合、
弁護士会の許可が必要なので、
喫茶店を営むということについて、
弁護士会の許可を取る必要があります。

いいかどうか意見が分かれるところですが、
このように弁護士は、
弁護士の仕事に対する
みなさんの信頼を守るように規制されているのです。


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2009年12月10日(木)

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