弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第501回
ネットビジネスでは代金回収に注意

起業をしようとする場合、
ネット上で、商品を販売する
というネットビジネスをしようという人も多いと思います。

ネット上で商品の販売をできれば、
店舗の家賃や内装費もかかりませんし、
商品の陳列なども不要になり、
人件費なども店舗販売に比べてかなり削減できます。

実際、副業として、
ネットビジネスを行っている方も多いようで、
そういう方からの相談も結構あります。
ネット上で、商品やサービスの提供をする場合は、
特定商取引法上要請されている事項の表示をしなければなりません。

まあ、これは形式的なことですが、
ネットビジネスで、
実質的に、重要なのは、代金の支払の確保です。

商品を先に送ってしまったけれども、
代金が支払われないとなったときに、
ネット取引では、回収が困難になることが多いです。

まず、ネット取引では、
相手の氏名、住所が正しいかどうかわかりません。
相手の氏名や住所が正しいとしても、
遠方にいて、会って交渉する、
あるいは取り立てに行く
という普通のビジネスなら通常行うことがしにくいです。

相手が、どういう生活をしていて、
どれくらいの資力があるかも把握しにくいです。
もちろん、注文を出した人が
お金を持っていないのに注文を出す可能性もあります。

また、ネット取引では、
通常、代金の額が小さいので、
代金の回収に、費用をかけるとそれだけで、
赤字になってしまいます。

これらのことを考えると、商品を先に渡して、
後払いとすることは、なかなかお勧めはできません。
ただ、商品を買う方からすれば
商品が届いたことを確認してから
代金を支払う方が安心なので
後払いの方が申し込みをしやすいです。

そこで、一定の貸し倒れ(回収不能)は、仕方がないとして、
後払いを選択するという方法もあります。
代金引換(いわゆる「代引き」)は、
顧客に手数料がかかるので、
申込みが鈍る可能性があります。

商品力が強い、あるいは、
サイトとして先払いしても
きちんと商品を送ってくれるという信用があれば、
代金先払いでも十分商品を買ってくれるとも思います。
商品が売れても、代金が払われなければ、
商品をあげたのと同じで、ビジネスは成り立ちません。

ネットビジネスでは、この辺をよく検討して、
代金の支払方法を決めることが必要です。


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2009年10月29日(木)

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