弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第497回
どうする住宅ローン?

住宅ローンの延滞により
自宅が競売にかけられるケースが増えている
という話を6月ころに書きました。

この傾向は、続いているようで、
最近もテレビなどで取り上げられています。

住宅ローンの延滞の原因は、
サブプライムローン問題に端を発した
経済危機だと思っていましたが、
いわゆる住宅金融公庫のゆとり返済も原因となっているようです。

ゆとり返済は、当初の5年は、返済額が少なくて、
5年後に返済額が上がる仕組みだと思っていましたが、
当初10年の返済額が低くて、
11年目から返済額が上がるものもあったようです。

5年のものは、以前問題となりましたが、
今問題となっているのは、10年のもののようです。

そもそも、ゆとり返済は、
給料が上がっていくことを前提にしていますから、
給料が上がって行かなければ、
約束どおり払えないので延滞となってしまいます。

このような状況の中で、まず、自宅を守るには、
住宅ローン再生という民事再生法があります。

しかし、この制度は、
住宅ローン以外の借金を減額して、
住宅ローンは約束どおり払うというものなので、
少なくとも、他の借金を減らせば
住宅ローンは払えるという人しか使えません。

逆に、他の借入金を減らせば、
住宅ローンを払っていけるという人であれば、
自宅を守る方法として有効です。

住宅ローンの返済額そのものを減らさないと
生活を維持できないという人には、
住宅ローン再生は、あまり役に立ちません。

住宅ローンの返済額そのものを減らす必要がある人は、
一時しのぎかもしれませんが、
短期の変動金利のローンで借り換えができないか
検討するくらいかもしれません。

無理して住宅ローンを支払い続けるために、
サラ金などから借入れをしてしまうと、
あっという間に債務額が膨らんでしまい、
破産するほかなくなってしまう場合もあります。

そういう場合は、早期に見切りをつけて、
任意で、自宅を売却するという方法もあります。

開き直って、住宅ローンを支払わずに、
競売で売却され、明け渡しを求められるまで住み続ける
という方法もあります。
ただし、この方法は、延滞金が膨らんでいく
というデメリットがあります。

これらのうち、どの方法を取るのがよいかは、
自宅の売却可能額、住宅ローンの残額、
他の借金の額や収入など各人の事情によります。


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2009年10月15日(木)

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